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コンテンツをベースにする日本型Web2.0 第1回:

Web2.0にもあった日本だけの特徴

日本のインターネット業界でも進むWeb2.0化。ただ、それは本来のWeb2.0化とはちょっと違うようだ。そこには、日本ならではの特徴があるのだ。
2006年09月06日 08時00分 更新

新興ネット企業躍進の背景

 2006年度4-6月期の企業業績を見てみると、多くの業種で好調だったように、IT業界においても、一部の領域で不振はあるものの、全般的な景況感はここ2、3年の中では非常に活気ある状況だ。インターネットを中心とした市場は特に元気がいい。ヤフーや楽天といった大手企業に続こうとする新興の企業群の急成長には目を見張るものがある。バリューコマースなどの企業は株式上場を果たし、ビジネスの世界にしっかりと根を下ろしつつあるようだ。

 この世界は、グーグルやアマゾン・ドットコムといった米国の列強がマーケットリーダーとして君臨している。日本でもその影響は従来のビジネスに比べて、はるかに早くそして深く及んでいる。とりわけ、創業10年にも満たない企業が世界中に現地法人を抱えて市場シェアの上位を独占しているという事実は、インターネットビジネスの大きな特徴にまでなっている。

 インターネットの商売では、コミュニケーションや表現といったその国や地域の文化的特性が強く反映されるものが商品になる。日本のネット新興企業も、ビジネスモデルやソフトウェアといったレイヤーで米国の事例をベースにしつつ、それを日本の市場特性に深く最適化して成功を収めているところが多いように思える。

 ネットビジネスに関しては、リアルエコノミーといわれる従来型の手法からネットへの移行を促すという競争構造がいまだ中心である。例えば、ネット広告の市場では、サイバーエージェントをはじめとする専業企業に加えて、電通など総合広告企業のネット部門も業績を伸ばしている。それぞれの事業の中身を見てみると、アフィリエイトやターゲット広告のようなネット独自の手法を強みとする専業系に対して、総合系はテレビCMなど従来型広告との連携を売りにしている。どちらかの手法に長があるというわけではないだろうが、両者が連携を深めることを目的としたトライアルはまだ成果を出すには至っていないようだ。そこには、手法の違いを超えた企業文化や世代の差異が大きく立ちはだかっていると見受けられる。

 ここ数年、いろいろな試行錯誤が続いたリアル企業のネット進出も、概ね一段落した。「結果的に自力でのネット領域開拓に疲れてしまった」という例は少なくない。だが、彼らの多くはネット領域に愛想をつかしたわけではなく、ネット専業者との協業によってネット戦略を展開する道を選んでいる。それは、新興ネット企業の成長を支える流れになっている。

CGMに傾斜する日本でのWeb2.0

 日本のインターネットビジネスの現状は、1年前と比較しても単に市場が拡大しているだけでなく、その領域が多様化し、そして深化している。ネット証券の拡大やモバイルコマースの躍進、ブログやSNSの拡大を基にしたアフィリエイト手法の台頭しかりである。

 そうした現在のトレンドを一言でいうなら、やはり日本でもWeb2.0化が進んでいるということだろう。ただし、この概念を提唱したティム・オライリー氏が描いているものが、現時点では良い意味でも悪い意味でも日本の市場特性に合わせて最適化されているということには、注意しておく必要がある。

 元来Web2.0とは、オライリー氏の論文の副題「次世代ソフトウェアのデザインとビジネスモデル」が物語っているように、ソフトウェアをベースにしたビジネスのあり方を展望したものである。そのため昨今、日本で「Web2.0」と書かれているものを見るにつけ、どうしてもその内容にある種の「偏り」があるような気がしてならない。その偏りとは、ほかならぬ「CGM」(=生活者による情報発信メディア)である(「月刊アイティセレクト」掲載中の好評連載「新世紀情報社会の春秋 第七回」より。ウェブ用に再編集した)。

なりかわ・やすのり

1964年和歌山県生まれ。88年NEC入社。経営企画部門を中心にさまざまな業務に従事し、2004年より現職。デバイスからソフトウェア、サービスに至る幅広いIT市場動向の分析を手掛けている。趣味は音楽、インターネット、散歩。


[成川泰教(NEC総研),アイティセレクト]

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