イントラ版Googleを目指す? いよいよSAPが「Enterprise Search」発表

Enterprise Serachは「2つ」の特徴で差別化を図る。NetWeaverプラットフォームの魅力を高める仕組みとは。

» 2006年09月14日 19時21分 公開
[Renee Boucher Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 かねてからメディアで大きく取り上げられ、さまざまな憶測も飛び交っていたが、SAPはついに、「SAP Enterprise Search」を発表した。このアプリケーションは、SAPユーザーが全社的に検索機能を利用することを可能にするだけでなく、コンテキストに応じた情報を提供する。

 この発表は、9月12〜15日にラスベガスで開催中のSAPの年次「TechEd」カンファレンスで行われた。

 ユーザーが社内システムからデータを探し出すことを可能にする検索機能を提供しているソフトウェア企業は多いが、自社のNetWeaverプラットフォームの一部として検索機能を提供するSAPでは、2つの重要な特徴でEnterprise Searchの差別化を図る考えだ。1つは、SAPシステム上だけでなく、ほかのシステム上でもデータをコンテキストに応じて検索することを可能にする技術である。もう1つは、インメモリ技術を利用することにより、検索速度を大幅に向上するというもの。

 インメモリ技術というのは文字通り、データをディスク上に保存するのではなくメモリ内に保持する方式である。情報はある意味で仮想化されているため、標準的なリレーショナルデータベースに格納されたデータを取り出すよりも、はるかに高速に検索を実行することができる。SAPは、インメモリ技術をビジネスインテリジェンス(BI)アクセラレータ(NetWeaver内の機能)と組み合わせる予定だ。また、データベースを別途用意したり、データベース管理者を置いたりする必要がないようにするという。

 さらにSAPは、Enterprise Searchをアプライアンスに組み込み、BIアクセラレータへの機能強化として提供する計画だ。

 Enterprise Searchの狙いは、ユーザーが構造型/非構造型データに対する検索を行った上で、その情報を特定のビジネスコンテキストへの関連付けを可能にすることにある。SAPの取締役で、プロダクト/テクノロジーグループの社長を務めるシャイ・アガシ氏は、検索実行のサンプルとして、SAPの広報グループ(責任者はビル・ウォール氏)に所属する全従業員の検索を行ってみせた。この情報を得るために人事関連の画面を行き来しなくても、Enterprise Searchを利用すれば、「ビル・ウォール配下の従業員」と入力するだけで求めるリストが呼び出される。このリストから個々の従業員の情報を掘り下げ、その従業員の給与や進行中のプロジェクトといった詳細を把握することができる。

 SAPが開発した独自の検索エンジンであるEnterprise Searchのアドバンテージは、エンタープライズスキーマとデータモデルだけでなく、検索を行うユーザーの役割や嗜好意図なども考慮に入れたコンテキストを提供できることである(ほかのビジネスアプリケーションベンダーも自社のシステムに保存されたデータを取り出す独自の検索エンジンを提供することで、同様のアドバンテージが得られるものと思われる)。

 SAPによると、Enterprise Searchには、NetWeaverのメイン検索エンジンに加え、Webサービスとして提供される新しい検索機能が含まれるという。このエンジンは、2種類のユーザーインタフェース(UI)を通じてアクセスすることができる。1つはWeb上で利用するためのブラウザベースのUI、もう1つは6月にリリースされた「MySAP ERP 2005」に組み込まれたデスクトップウィジェットである。

 SAP Enterprise Searchは、来年にリリースされる予定だ。開発者は、SAPのデベロッパーネットワークから運用試験用のアプリケーションをダウンロードすることができる。

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