顧客の声から生まれたApexがSaaSの世界を拡大する(1/2 ページ)

Salesforce.comは、顧客、パートナーおよび開発者を対象にした年次カンファレンス「Dreamforce'06」を開幕、最新バージョンとなるWinter'07、そして世界初となるオンデマンド用のプログラミング言語でプラットホームとなるApexの発表を行った。

» 2006年10月11日 16時43分 公開
[谷川耕一,ITmedia]

 SaaSベンダーの先頭を走っているSalesforce.comは、顧客、パートナーおよび開発者を対象にした年次カンファレンス「Dreamforce'06」を開幕した。今年は5,000名を超える事前登録者があり、昨年の3,500人から大幅に増加、会場のサンフランシスコ モスコーンコンベンションセンター ウエストもそろそろ手狭になるのではという盛況ぶりだ。

 オープニングのステージに登場したCEOのマーク・ベニオフ氏は、いつも通りに大柄の身体を忙しく動かしながら、力強いスピーチを行った。まずは、「You are The Herose.」。顧客がSalesforce.comのビジネスを支えているということで、顧客に感謝を述べることからセッションを開始した。そして、すぐにeBayの元COOで、最近Salesforce.comのボードメンバーに加わったメイナード・ウェブ氏を紹介、ウェブ氏からはeBayと比較しながら同社の成長の過程と現在のポジショニングについて解説がなされた。

Salesforce.com CEOのマーク・ベニオフ氏

 CEOのマーク・ベニオフ氏は1999年に起業し、最初はテレグラフ・ヒルの一部屋のアパートからビジネスをスタートした。それが2006年の第2四半期には2万4,800社の企業に採用され、ユーザー数は50万1,000、2億2百万ドルの売上げにまで成長している。eBayは1998年からビジネスを始め、2006年第2四半期には14億ドルを超える売上げとなっており、規模は及ばないものの両社の成長のカーブはよく似ている。

 さらにウェブ氏から、インターネットをプラットホームとして24時間年中無休のサービスを展開しているところ、顧客第一のコミュニケーション重視の姿勢といったところが双方で同じであることが示された。そして、そうした両社のサービスが、今後どういう方向に進んでいくのかという問いかけが行われ、それを受けるかたちで、もうお馴染みともいえるマルチテナント方式のビジネスウェブの優位性を、ベニオフ氏自らデモを交えて解説を始めた。

 YahooやGoogleが、コンシューマ向けに提供してきたメールのサービスなどをビジネス用に展開するようになってきたことを指摘し、今後はOfficeソフトウェアやグラフィックス、プロジェクト管理などあらゆるものがオンデマンド化してくると予測した。例えば、Googleのスプレッドシートは、単にインターネット上で利用できるだけでなく、他人と簡単に共有できるところの価値が大きいとのこと。また、ガートナーによるとSaaSアプリケーションが2011年にはソフト販売額の25%になるという予測数字も示し、今後ともSalesforce.comのビジネス領域の成長が、大きく期待できることが示された。そして、現在5億ドルの収入規模で世界のトップ40に入るソフトウェア企業規模になったことが1つのマイルストーンであり、次のステップは10億ドルでさらに上位を目指すとのことだ。ただし、これと同時に非営利の団体などでに対しては、無償でサービスを提供するといったことも行っている。

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