本家とは違う? 日本発YouTubeが狙う動画投稿ビジネスとは 後編(1/2 ページ)

NTTがトライアルサービスを開始した「ClipLife.jp」は、著作者が本来の意味での情報発信者になれることや、グループ内の研究成果により安全な映像コンテンツ流通を実現しようとしている点で、明確な利用指針を示さぬまま暴走したYouTubeとは大きく違っている。

» 2006年11月02日 07時00分 公開
[ロビンソン,アイティセレクト]

 NTTがトライアルサービスを開始した「ClipLife.jp」は、プロ、セミプロ、アマチュアを問わず、個人が自由に動画コンテンツを投稿し、共有できるポータルサイトを目指している。

 このトライアルは、06年8月28日から07年2月28日までの6カ月を開設期間とし、この間にサービスの方向性を見定め、商用化を検討する計画だ。

権利侵害防止にNTTの研究開発成果を利用

 「Web2.0的世界が拡大し、今まで以上に情報発信への欲求が強まると、面倒な記述を必要としない動画が有効になる」と語るのは、NTTの第三部門でClipLife.jpのプロデュースを担当する仲西正氏だ。

 今後は動画を介したコミュニケーションのニーズが高まるだろうという同氏は、「投稿者、視聴者、そしてコミュニケーションする人の3方向に向けたサービスの利便性を提供することで、動画による情報発信が活性化されることを実証したい」と語る。

 ClipLife.jpでは、映像や音声の変り目を自動推定する技術を使い、各動画を15秒だけ特徴のある部分を切り出してダイジェスト映像を自動生成し、RSSで配信する技術を導入した。

 これにより、視聴者は興味ある分野の映像を簡単に探し出せるため、閲覧の効率も大幅に向上する。また、ロングテールへのリーチのチャンスを増やすことになるため、投稿者のモチベーションも高めることができる。

 さらに、動画に同期したコメント付与の仕組みを開発することで、動画を核にした利用者間のコミュニケーションを活発化させようとしている。それは、映像の中の特定のシーンを再生するリンクをブログに貼るなどの連携機能を利用し、再生同期でシーンごとのコメントの閲覧や書き込みなどもできるようになる。このサービスは、まもなく利用が可能になるという。

 現在、ClipLife.jpには800コンテンツがアップ。また、インディーズ音楽のビデオクリップを配信する「muzie」や、短編映画などのショートフィルム作品を専門に配信している「短編.jp」などのコミュニティが、ClipLifeのAPIを利用して動画を公開中だ。

 「今後動画は、制作者の権利関係が明確に保持され流通するようになる一方で、なるべく多くの人々に視聴してほしいとか、自分の作品を自由に流通させたいというニーズも出てくるでしょう」と仲西氏は予測する。

 そのためClipLife.jpでは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(著作権者が自らあらかじめ作品の使用条件を明示してネットに公開することで、利用者側の許諾手続きを省き、作品の流通や再利用を促進する枠組み。「Some Rights Reserved」と規定する。米スタンフォード大学のローレンス・レッシング教授などが提唱した)を導入している。

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