権利の強制執行を伴うデジタル著作権管理(DRM)よりも、権利の表明に留めるデジタル著作権表現(DRE)が、コンテンツの流動化をより促進させるというわけだ。
そしてもちろん、第三者の権利侵害や公序良俗に反する情報が含まれるコンテンツが投稿される場合を想定し、NTTの研究開発成果を利用したフィルタリングの仕組みも構築している。
詳細は明らかになっていないが、著作権者の映像や、過去に不正と判断された投稿映像との同一性を高速に判定するメディア検索技術や、映像中の情報を自動抽出して、人手による判定作業の軽減を図る映像内容理解技術などが中心になるという。
著作者が本来の意味での情報発信者になれること、さらに、グループ内の研究成果を使って安全な映像コンテンツ流通を実現しようとしている点が、明確な利用指針を示さぬまま暴走したYouTubeとの違いだろう。
「ClipLife.jpでは、利用目的を特定していません。視聴者同士がアイデアを持ち込んで、面白い使い方を考えてほしい」という中西氏。「動画の流通には、規制の面ではなく前向きで有効な活用に関する議論が必要。機会損失ではなくチャンスととらえるべきだと思っています」
以上、前後編で紹介した2つのサービスにおいては、権利関係は固めつつ、コンテンツの流通を活性化したいという目的は共通のものといえる。動画を簡単にシェアしたいとして始まったYouTubeと、自由な映像文化の確立を目指す日本発のサービス、その矛先は大きく異なるようだ。
(「月刊アイティセレクト」11月号のトレンドフォーカス「本家とは違う? 日本発YouTubeが狙う動画投稿ビジネスとは」より)
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