Javaを解放したSun(1/2 ページ)

Sunのリッチ・グリーン執行副社長は、「オープンソースへの貢献という点で、ITの歴史上最大となるものであることは間違いない」とコメントしている。Javaのオープンソース化の妨げとなっていた主要な要因は?

» 2006年11月14日 19時45分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

 誰にも邪魔されずにJavaコードの中身を探索し、心ゆくまで手を加えることができるようになることを、何年間も辛抱強く待ち続けてきたオープンソース開発者に対し、Sun Microsystemsは3つの文字で答えた。「G」と「P」と「L」である。

 Sunは11月13日、www.sun.com/javaにおいて、Javaの全バージョン――Standard、Enterprise、Microの各Edition――をGNU GPL(General Public License)バージョン2.0ライセンスの下で公開した。またSunは、従来の契約に基づいてシステムをすでに構築している一部の顧客向けの複数ライセンスメニューでは、同社の商用ライセンスおよびCDDL(Common Development and Distribution License)を継続する。

 カリフォルニア州サンタクララに本社を置くSun Microsystemsでソフトウェア部門のリッチ・グリーン執行副社長は、「これがオープンソースへの貢献という点でITの歴史上最大となるものであることは間違いない」と取材で答えている。

 Javaプログラミング言語が本格的に利用されるようになって11年になるが、ソフトウェア開発者はその大半の期間を通じて、Javaをオープンソースコミュニティーに公開すべきであるとして、個人的あるいは公的にSunを批判してきた。企業による所有から解放され、オープンな市場で成長できるようにすれば、Javaの価値が高まり、さらなるイノベーションが可能になる、というのが彼らの主張だ。

 Sunのジョナサン・シュワルツCEOは5月16日に、同社主催のJavaOne Conferenceにおいて、Javaのオープンソース化をできるだけ早期に実施すると約束していた。

 「わずか6カ月で実施にこぎ着けたのは、当社のソフトウェア、ビジネス、法務、マーケティング、NetBeansの各チームの努力によるところが大きい」とグリーン氏は話す。

 Sunの総合顧問を務めるマイク・ディロン氏によると、この移行は法律的な厳格さが求められる単調で面倒な作業だったという。「Java Standard Editionには約600万行のコードが含まれる。190人の弁護士から成る当社の法務チームは、それを1行ずつチェックし、すべての著作権表示およびサードパーティーの関与を洗い出さなければならなかった。Sunが適切なライセンスを持っていない場合には、ライセンス保有者に個別にコンタクトして権利関係を確定する必要があった」とディロン氏は話す。Sunが著作権保有者と和解しなければならないケースもあったという。

 ディロン氏によると、同社は200種類余りのオープンソースライセンスを検討したが、結局、GPLを採用することにしたという。「GPLは現時点で、イノベーションを推進する最大の開発コミュニティーを抱えているからだ。イノベーションこそSunが追求しているものである」と同氏は説明する。

 Sunでは、「Open JDK」と呼ばれる新しいコミュニティーがJava ME関連の開発を行うものと期待している、とグリーン氏は話す。モバイル/組み込みバージョンであるJava MEには、すでにコミュニティーが存在する。また、Java Enterprise EditionのオープンソースプロジェクトであるGlassFishは2005年に立ち上げられ、すでにオープンソースのアプリケーションサーバを開発した。グリーン氏によると、JCP(Java Community Process)と摩擦が生じる心配はないという。JCPは、現在、Java開発の管理に当たっている組織で、Sun自身およびオープンソースコミュニティーと強い結び付きがある。

 「JCPは主としてJava内部の事柄にかかわっている。オープンソースコミュニティーは主として、Javaの上に必要なアプリケーションを開発するだろう。すべての開発は自然な秩序に従うことになると、われわれは確信している」とグリーン氏は話す。

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