システム管理者への“小さな嫌がらせ”女性システム管理者の憂鬱(2/4 ページ)

» 2006年11月22日 08時00分 公開
[高橋美樹,ITmedia]

突然搬入されてきたプリンタ群

 わたしはいつも通りに出社し、サーバ室でサーバの状況やバックアップの結果を確認した後、自分の席に戻ってきた。すると、顔見知りのプリンタのメーカー営業が総務担当者と談笑していた。年末も近かったため、わたしはカレンダーでももらえるのか、とのんきに構えていたところ、突然プリンタがどかどかと4台も搬入されてきた。

 「これは一体何ですか?」

 慌てたわたしは総務担当者に詰め寄った。

総務:「あ、予算が余ったのでプリンタを買いました。古いのは撤去してもらって、今日からみんなにこっちを使ってもらいます」

わたし:「使ってもらいます、って社内に周知してないですよ。IPアドレスも用意してないし、ドライバも必要です。なにより、各ユーザーに新しいプリンタの設定が必要になると伝えていません」

 ここまでのわたしと総務のやりとりを聞いていたメーカーの営業担当者が、自信満々に口をはさんできた。

プリンタ営業:「ドライバはCD-ROMをお持ちしました。IPアドレスの設定もわたしがやりますから大丈夫です」

 一瞬コケそうになるわたし。いま思えば、メーカーの営業担当者にはなんの罪もなかったのだが、カレンダーがもらえるという期待が裏切られ、代わりに想定外のやっかいな案件が持ち込まれたため、やつあたりしてしまった。

わたし:「それはプリンタ自体のIP設定ですよね。プリンタの入れ替え作業では、どのIPアドレスをプリンタ用として準備するか、本来ならプランを立てたいところです。前のプリンタを残すかどうかでも変わってきますから。それに、ここではアクセス権をプリントサーバで管理しているから、サーバ側でプリンタの設定を4台分先に済ませる必要もあります。プリンタドライバもサーバからクライアントへ配布できるように、すべてのOS用のドライバが必要になります。メーカーによってはドライバのインストール時にサーバの再起動が入ることもあり、その都度、別のプリンタを使っているユーザーにも影響が出てしまいます」

 総務も営業担当者も押し黙ってしまった。当時「瞬間湯沸かし器」と異名をとっていたわたしだが、実は冷めるのも早かった。いけない、怒っていても始まらない。気を取り直し、今度は総務担当者に協力を要請した。

わたし:「ともかく作業を進めるしかないですから、いま使っているプリンタが撤去されることをメールで周知してください。その際、各クライアントに設定されている昔のプリンタは利用できなくなること、新しいプリンタ設定が必要になること、プリントサーバの作業でしばらくプリントアウトができなくなる可能性があること、この3点を明記してください。プリントサーバを設定している間に、ユーザーの移行方法を考えますから」

 プリンタだけでここまで大掛かりな作業が必要になるとは、総務も想像できなかったらしい。

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