「無意味だ」と言いながら、どうして会議の改善をしないのか企業にはびこる間違いだらけのIT経営:第18回(1/2 ページ)

社内の会議で「やっても意味がない」と思われるものが多数ある。無駄な会議がない会社はないといってもいい。無駄な会議を減らす策とは?

» 2006年11月24日 09時00分 公開
[増岡直二郎,アイティセレクト編集部]

無駄な会議の責任分散効果

 先般欧州を旅行した際、1814年ナポレオン敗北後オーストリアの帝相メッテルニヒが欧州の覇権を握ろうとして欧州各国の代表をウイーンに招いて開いた、いわゆるウイーン会議の場に立った。その時、当時オーストリアのリーニュ公爵が揶揄して漏らしたと言われる「会議は踊る、されど進まず…」の名セリフを思い出しながら、(本来の意味は違うものの)なかなか進まない会議が現代の企業においてもいかに多いか、そしてそれに対して現代の企業人たちはいかにうんざりしているか、にもかかわらず彼らはそこからの脱出を本音の部分でほぼ諦めてはいないか、を考えた。

 「また会議だ。仕事にならないよ」「無意味な会議なのに、時間の浪費だ」「何とかならないのかな、ったく」…。現代の企業人たちはそうこぼしながらも、従順に会議室へ向かう。確かに無駄な会議によって浪費される時間や経費は、バカにならない。

 一方彼らは、「会議は居心地が悪くない」と潜在的に思っているふしがある。実は会議に出ている限り、彼らはいかにも仕事をしている錯覚にとらわれ、そして現状のわずらわしい仕事から解放される口実を得られる。おまけに、会議はともすれば「責任」を分散してくれる。彼らは、無意識のうちに会議を歓迎してはいまいか。

 それにしても彼らは従順すぎないか。安易に逃避していないか。時間や経費が浪費されているのなら、「何とかならないか」ではなく、「何とかしよう」として行動を起こさなければならない。そんな会議に頼る間違った経営から脱出する方法を探ろう。

アンケートに見る無駄会議の実態

 無駄な会議が多いと一般的に言われているが、それを裏付けるデータがある。

 若手エンジニアに対するアンケート調査によると(Tech総研04年実施)、「会議は、ほぼ50%以上は無駄と感じる」と答えた人は過半数(56%)、「30%くらいが無駄」を含めると84%が会議を無駄と感じている。

 さらに別の調査で、普段の会議を「不必要な会議」(「の方が多い」も含めて)と感じる人が約36%、出席する会議で「論点がずれて判らなくなる」(「場合もある」も含めて)が50%、「何が決まったか判らないまま会議が終わる」(「ことが多い」も含めて)が約47%にもなる(プレジデント社調査、「プレジデント」05年11月)。

 そんな無駄な会議は、即刻止めるべきだ。これが最初に打つべき手である。筆者は無駄な会議を止めたら、会議数が30%減った経験を持つ。次に、残った70%の会議について、会議時間を1時間に短縮する。世にはびこる「会議」本が役立つのは、それ以降である。

 会議の目的は、情報伝達・意思決定・意見調整・及びその併用と大別され、さらに細分化すると、(1)情報収集 (2)伝達 (3)交流 (4)参加者の教育・スキル向上、そして (5)問題解決(6)意思統一・一体感・帰属意識の醸成、がある。

 (1)、(2)、(3)の会議は、即刻止めるべきである。全体部課長会議や安全衛生会議などの定例会議がこれに当る。書類配布やファクス、メールで充分である。そんな手段では徹底を欠く、顔を合わせる必要があるなどというのが、会議廃止に反対する主な理由である。それは、事務局が仕事を失いたくない言いわけにしか過ぎない。惰性で会議形式がとられている集まりは、思い切って止めなければならない。根強い抵抗を思うと、トップダウンで行くべきだ。

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