“話題のキーワード”は真実を語る?(2/2 ページ)

» 2006年12月01日 15時21分 公開
[森川拓男,ITmedia]
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 しかし、ブログ読者にとって、読んでいるブログ内容が企業から報酬が支払われたものであるということが分かってしまった場合、どうなるだろうか。タウンミーティングで問題となった「やらせ質問」と同様の「やらせ記事」に見えてしまう可能性がある。

 そしてこのような記事が交じることで、先の“話題のキーワード”の中に「作られた話題」「仕掛けられた話題」が入り込むこととなる。これは、キーワードによるマーケティングにマイナスにならないだろうか。

 そしてもう一つ、「自動生成されるブログ記事」問題だ。必ずしもスパムとはいえないかもしれないが、スパムと判断できる記事の存在である。例えば、Blog Petなどが、ブログの記事を解析し、定期的に記事を投稿する仕組みがある。これは基本的に、過去に投稿された記事内容から拾ってくるため、関係ない時期に、調査しているキーワードが頻出する可能性が否定できない。

 これら、話題のキーワードを利用したマーケティングに際して不要な要素をどう除外できるのか。そこは、今後クリアしなければならない課題だろう。

キーワードスパムによる情報撹乱も

 ブログマーケティングが進む中で、今後始まるかもしれない(すでに始まっているかもしれない)ものとして、「キーワード攻撃による情報撹乱」が挙げられる。

 これは、話題のキーワードを集計するサービスに対して、複数のブログから自動生成した記事を多数投稿し、特定のキーワードを意図的に上位に押し上げる行為だ。話題のキーワードは、多くのブロガーが同時期に話題にしているからこそ、ランキングに意味がある。

 それが、特定の意図を持って投稿された記事によって押し上げられたものになる場合、そのランキングの価値が破壊されてしまう。

 実際のところ、数千万、数百万以上の記事の中から作られるランキングであるために、この攻撃がすぐに成功するとは考えづらい。そうとはいえ、記事投稿を機械的に行うことは現状でも可能なめ、撹乱情報が混じる可能性がまったくないとは言えないのだ。

それでも“話題のキーワード”は真実を語る

 しかし、以上のような問題があったとしても、話題のキーワードは、条件つきながらマーケティングに役立っていると結論づけることはできるだろう。

 例えば、自社サービスのイベントを行い、話題のキーワードでチェックする。イベント開始前、開催中、直後などといったように分析し、取り上げられた頻度だけでなく、どのような内容が語られているのか、詳細な分析をしなくては意味がないのだ。要するに、好意的な意見だけでなく、否定的意見もあるし、中にはただ単に取り挙げただけで意見など含まれないものもある。さらには、投稿内容そのものが自動生成された場合や、別のマーケティング手法によって投稿されたものも混じっているかもしれない。

 これらの情報を精査し、分析する能力がなければ、間違った結論を導き出してしまう恐れがあるだろう。

 しかし、話題のキーワードがうそを吐いているわけではない。話題のキーワードは常に、真実を語っているのだ。ブロガーが興味を示したもの、ブロガーが嫌悪感を抱いたもの、ある特定の意図を持って広げたいこと……いずれも、ある種の真実である。

 この話題のキーワードから作られし世論を排除し、必要な情報のみを判別する。今後のキーワードマーケティングには、これまで以上に高度な分析能力が必須となっていくことに間違いはない。

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