日本版SOX法の適用を控え、多くの企業から「業務プロセスの文書化が大変」という声があちらこちらから聞こえてきている。しかし、内部統制は文書化で終わりではない。運用こそが重要だ。
日本版SOX法の適用を2008年4月1日に控える中、多くの企業がその対応に苦慮しており、「業務プロセスの文書化が大変」という声があちらこちらから聞こえてきている。しかし、内部統制は文書化で終わりではない。
「財務経理や法務の部門がプロジェクトチームをつくり、プロセスの文書化に取り組んでいる企業が多いが、内部統制は運用こそが重要だ」と話すのは、日本アイ・ビー・エムのソフトウェア事業 でマーケティングマネジャーを務める森島秀明氏。
SOX法の本家である米国でも、監査法人の指導を仰ぎ、「先ずは業務プロセスの文書化が大事」と大いに取り組んだが、運用面をどうするかまではなかなか手が回らなかった企業が多かったという。
業務プロセスの文書化関連プロジェクトを支援するツールの領域としては、以下のようなものが考えられる。
現状は多くの企業が、何か良い文書作成ツールはないか、と探している段階にすぎないのではないだろうか。
「実際の運用となると、せっぱ詰まってしまい、IBMでも手近にあるツールで何とか間に合わせるしかなくなったが、そんなとき、日常業務でだれでも使え、簡単にワークフローをつくることができるLotus Notesが大活躍した」と森島氏。
内部統制を行うためには、基幹業務システムやERPのような定型処理による内部統制以外に、非定型の処理も統制していかなければならない。業務プロセスの文書化は出来たが、非定型のプロセスをWordで作成した紙の承認書で回していては、レビューも難しい。
件数は少ないものの、金額の大きな取引に伴う業務プロセスは、財務諸表への影響度は大きいのに、紙のままが処理されていることが多い。「すべての業務プロセスをERPで処理することは難しい。頻度が少なかったり、すぐに変わってしまう業務プロセスは、大掛かりなシステムには向かない」(森島氏)
Notesユーザーとして知られる電源システムメーカーのデンセイ・ラムダでは、文書作成ツールで書いた業務プロセスをワークフロー化し、きちんと運用されているかを管理するツールとして、Lotus Notes/Dominoを活用するという。
最新バージョンのNotes/Dominoであれば、Webアプリケーション化しても使い勝手の良いユーザーインタフェースが提供できるし、電子署名の機能もある。基本が文書データベースなので、プロセスや意思決定のログを残し、進ちょくを管理したり、レビューすることも容易だ。そして、これは内部統制の大原則といえるものだが、権限のある人にしか情報を閲覧させない、きめ細かなアクセス制御機能には定評がある。もちろん、基幹業務との連携機能もある。
「企業行動基準や各種の業務マニュアルそのものもNotesのデータベースで作成して、メンテナンスしていける。ビジネスのガイドラインやFAQとしても役立つ」と森島氏。
日本版SOX法への準備は、大企業ではかなり準備が進んでいるものの、中堅、中小企業ではまだまだ悩んでいる段階という。とはいえ、顧客らも「黒船来襲」に右往左往する時期は過ぎ、冷静さを取り戻している。
「すでにあるもので何とかならないか? そう顧客が考えたとき、Notes/Dominoなら追加投資なしにワークフロー管理システムとしてもフル活用できる」と森島氏。
内部統制をきっかけに、Notes/Dominoのワークフロー機能が注目されるかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.