実空間の物流情報を、ネットワークへリアルタイムに流す。RFIDデータが製造現場からビジネスシステムまでシームレスにつながるものとして、両社はEPCglobalへのオープン化にコミットした。
IIJと日本BEAシステムズは、3年間の試行錯誤を経て、RFID2.0の標準プラットフォーム提供へとこぎ着けた。
昨今、国土交通省のデータからも分かるように北米から中国へのコンテナ荷動量は増加の一途だという。実空間の物流データをいかにネットワークへリアルタイムにつなぐか。国内でも、市場変化に対し新たなサプライチェーンが求められている現在、この点は大きな課題になっているという。
12月6日、インターネットイニシアティブ(IIJ)と日本BEAは、共同記者会見でRFIDの普及を見込んだRFID2.0標準プラットフォームの発表を行った。
「リアルタイムのトラックトレースが重要視されている」と会見で強調された。
今回の発表は、IIJの「EPCglobal Network」と、日本BEAの「BEA WebLogic RFID Edge Server/WebLogic RFID Enterprise Server」の相互運用性、そしてシステムとしてHPのサーバ利用によって実現されたもの。
従来までは、RFIDは企業の現場レベルで利用されるものと思われがちだったと前置きし、しかし、今回発表を行うRFID2.0では企業システムとの連携も見込んだものとして、データ活用がいっそう加速するものだという。
それぞれのテクノロジーは、「RFID」によってビジネスステップの自動化とリアルタイムトレースの実現、「EPCglobal Network」(IIJ)によって物と情報が一致する仕組みが取り入れられることで物流効率化の期待。さらに、日本BEAのSOAミドルウェアがかかわることで、企業システムとRFID/EPCglobal Network(RFIDシステム)との疎結合を実現するという。
両社は早期にRFID標準化団体のEPCglobalへと加盟しており、ネットワーク適応と企業システム適応に先見を持って取り組んできた。2005年9月にはIIJから「EPCglobal Network」サービスが開始され、EPCの移動履歴を記録可能なEPCIS、企業や製品に関する情報所在を管理するONS、EPCのシリアル番号レベルでの情報管理が可能なDiscoveryで構成されている。
日本BEAでは、エッジとエンタープライズを結びつけることを課題とし、RFIDミドルウェアが担う。タグをリーダーからフィルタリングしてバックエンドに送る「BEA WebLogic Edge Server」では、現在、40以上のデバイスに対応しており、ビジネスロジックの制御、データ制御を実現するワークフローも可能とする。
さらに、RFIDデータの活用でROI向上を担うためにSOA基盤として連携するために「BEA WebLogic RFID Enterprise Server」を用意する。WebLogic Edge Serverの集中管理を始め、マスターデータとのマッチング、シリアル番号生成などを行う。これにより、ほかのビジネスシステムにデータ活用をしたい場合、SOAによってRFIDデータの活用がいっそう高まっていくという狙い。
会見で両社は、ネットワークとRFIDの連携にこだわっていると強調し、膨大な物がネットワーク上へと情報が流れ込むことで、組織や国を超えて活用するシーンが期待できるとコメントした。
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