エンタープライズにもSkypeを

一般ユーザー向け機能が注目されがちなSkypeだが、新バージョンからは、企業が導入しやすいメニューも用意されているという。

» 2006年12月15日 12時39分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 情報漏洩につながる恐れがあるとして、多くの企業がP2Pソフトの利用を禁止する。コンシューマー市場で市民権を獲得しつつあるSkypeも例外ではない。12月14日に日本でも発表された「Skype 3.0 for Windows」には、企業がSkypeを導入しやすいよう、企業向けのメニューも用意された。

 Skypeは、誰もが気軽に利用できるツールだけに、個人が会社支給のPCへ管理者に無断でインストールする危険がある。また、業務時間中の不必要な操作から、情報漏洩だけでなく業務効率の低下を招く恐れもあり、このような理由で多くの企業がSkypeの利用を禁止している。

IT管理者向けSkype 3.0 Skype 3.0 for Windowsでは、IT管理者にも配慮しているという

 Skype 3.0 for Windowsは、レジストリキー操作による使用制御や利用管理のためのコントロールパネルが提供されている。「企業のセキュリティーポリシーにも対応できるだろう」と、Skype日本オフィスの岩田真一ジェネラルマネジャーは話す。

 レジストリキー操作では、ファイル転送の禁止やスーパーノード化の禁止、メンバー登録の制限といった、さまざまなSkype制御を行える。レジストリキーは、Skypeホームページの「Skype business security」から入手できる。マイクロソフトのインストーラーパッケージを利用して、ネットワークからのインストールも可能だ。

コントロールパネル コントロールパネルでSkypeの経費管理ができる

 コントロールパネルは、Skypeでの公衆回線利用(SkypeInおよびSkypeOut機能)を、部署単位で一括管理することができる。Skypeで公衆回線を利用するには、プリペイド式の「Skypeクレジット」が必要。コントロールツールからは、従業員それぞれの残高確認やSkypeクレジットの一括購入、インボイスの発行などができる。

 SkypeInの着信番号を部署で共有すれば、代表番号でSkypeを利用でき、特にCRMでは有効的に活用できるという。同社によれば、独PostbankやU.S. Roboticsでは、コールセンターシステムにSkypeを採用しているとのこと。通信内容も256ビットAESで暗号化しており、「会話が第三者に筒抜けになる心配はない」(岩田氏)。

Skypeユーザーの推移 Skypeユーザーの推移(注:2006・3Qの数値は反映がされていない)

 2006年第3四半期時点の全世界のSkypeユーザーは、約1億3600万人。国内では約400万人が利用する。新規利用者は、1日当たり約22万人ずつ増加しているという。ユーザーアンケートから「導入のしやすさと品質の高さが評価され、利用者拡大につながっている」と、岩田氏は説明する。

 また、岩田氏は「専用設備が必要なIP電話と異なり、SkypeはP2Pネットワークを有効利用して、円滑なコミュニケーションを実現するものであることを知ってほしい」という。2007年からは、エンタープライズ分野へのSkypeの訴求を本格的に始める考えを明らかにしている。

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