ソフトの違法コピー、依然増加中もユーザー意識は改善傾向に

ソフトウェアの権利保護活動を行うBSAは、2006年の活動状況をレポート。組織における不正コピーの情報提供件数がここ数年増加傾向であることが分かった。

» 2007年01月30日 15時19分 公開
[堀見誠司,ITmedia]

 ビジネスソフトウェアの権利保護活動を行う非営利団体、ビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA)は1月30日、2006年の活動報告などを行った。そこでは、企業など組織内でのソフトウェア違法コピーの状況がレポートされた。

 組織内違法コピーとは、複数のソフトウェアを使う組織内における違法コピーのことで、1台のコンピュータでのみ利用が許諾されたソフトを複数のマシンにインストールするような場合が該当する。BSAでは権利保護支援として、情報提供窓口を設けて違法コピーの発見者から電話、電子メール、Webを通じて通報を受け付けている。

違法コピーの通報数はすでに2004年から増加傾向で、ソフトウェア業界がダントツで多い

 BSAの調査によると、国内における2006年の組織内違法コピーの情報提供数は376件。前年に比べて31件増えており、ここ数年増加傾向であることが分かった。業界別に見ると、ソフトウェア業界が88件と最も多く、続く広告・出版、印刷の上位3業界で全体の35%を占めるという。違法コピーの割合と損害額はほぼ横ばいで、依然としてソフトの違法コピーによる損害は大きい。

 BSA日本担当顧問の石原修弁護士は、違法コピーの情報提供が増加傾向であることに関して「違法コピー率は変わらないまま情報提供数が増えるということは、知的財産権保護といったユーザーのコンプライアンスへの意識が高まった証拠ではないか」との分析を示した。また、ソフトウェア業界の違法コピー報告件数が多いことについて、「ソフト業界は、開発・検証を目的に一時使用することが多く、一方で使う側としてのリテラシーが高いためではないか」(石澤一良 BSAメンバー企業日本代表)と分析している。

今泉BSA日本担当事務局長(左)と石原BSA日本担当顧問弁護士

 BSAでは教育機関、自治体/公益法人、ソフトウェア業界のコンプライアンス支援に注力することを今年の活動方針としている。2006年には国立大学を中心にソフトウェア管理を支援するプロジェクトを開始。管理台帳の作成やツールの提供、学生/教職員への啓発活動などを通じて具体的なライセンス管理の方法を提示しており、2007年は支援対象を私立大学や専門学校、ソフト業界にまで広げる考えだ。

 「国立大学の支援プロジェクトでは、ユーザーのコンプライアンス意識やニーズの高さを認識した。今後は政府やほかの権利保護団体と歩調を合わせて、特にネットオークションでの権利保護支援活動を強化していく」(今泉寛 BSA日本担当事務局長)

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