IPAがオープンソースソフトウェアの性能や信頼性に関する最新の評価結果を公開した。
独立法人情報処理推進機構(IPA)は2月7日、オープンソースソフトウェア(OSS)・センターの活動報告と、2006年度のOSS性能・信頼性評価プロジェクトの結果を公開した。2004年から続くOSSの評価プロジェクトは、今回で活動を終了する。
OSS・センターは、オープソースの普及促進を目的に2006年1月に設立された。オープンソースの利用促進や情報発信、円滑利用に向けた法的基盤の整備、人材育成の各分野で活動している。
2006年度は、広報イベントや出版、独FOKUSなど海外のOSS普及団体との連携などの活動を展開した。また、インターネット上でOSSの性能や信頼性を評価することができる「OSSオープン・ラボ」の開設、OSSに関する豊富な情報を提供するWebサイト「OSS iPedia」の公開も行っている。
2006年度のOSS評価プロジェクトは、130項目について検証が行われた。従来の性能や信頼性に加え、OSSの改善やチューニング手法、また最新のサーバ環境における動作検証を行った。
例えばCPUのスケーラビリティは、PostgreSQL 8.1では8CPUまでが限界だったもの、PostgreSQL 8.2では16CPUまで対応することが確認された。
MySQL 5.0でのデータベース(DB)の大容量化と動作性能を比較した検証では、DBの大容量化に伴ってパフォーマンスが大幅に低下することが判明した。だが大容量DBにチューニングを施すことで、チューニングをしていない小容量のDBと同程度のパフォーマンスを確保できるという。
アプリケーションサーバでは、JBossおよびTomcatで8台構成までのパフォーマンスを検証した。いずれのケースでもサーバ数の増加に応じて性能の向上が確認された。特にJBossでは、セッションをすべてのサーバに複製させる「All-to-All」構成よりも、隣接するサーバだけに複製する「Buddy Replication」構成の方が性能を向上できることが判明した。
OSS・センターの鈴木友峰研究員は、「今回までのプロジェクトでOSSに関する基本的な検証やツールの開発をほぼ終えることができた。今後は、プロジェクトの活動成果を広く普及させていきたい」と話す。
プロジェクトの結果は、OSS iPediaで公開されており、過去のプロジェクトを含めた約300件の検証結果を閲覧することができる。
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