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» 2007年02月27日 19時10分 公開

国内におけるプロジェクトマネジメント導入の遅れを取り戻す

マイクロソフトは2月27日、プロジェクト管理の統合アプリケーション「Office Project 2007」に関するカンファレンスを開催した。製品や導入事例の紹介が行われたが、その基調講演では、国内のプロジェクトマネジメントの実情が明らかになった。

[柿沼雄一郎,ITmedia]

 マイクロソフトは2月27日、プロジェクト管理の統合アプリケーションである「Office Project 2007」に関するカンファレンスを東京・目黒で開催した。製品パートナーやユーザーグループなどが参加、製品や導入事例の紹介といったセッションが行われた。基調講演では、国内のプロジェクトマネジメントの現状について、マイクロソフトとNPO団体であるPMIによる考察が披露された。

国内のプロジェクトマネジメント事情

 マイクロソフトのOffice Project 2007(以下Project)は、企業におけるプロジェクトの計画から終了までをトータルにサポートするアプリケーション。デスクトップでのスタンドアロン利用からクライアント/サーバ型の利用まで、プロジェクトの規模に合わせて幅広く対応できるよう、製品ラインアップを揃えている。国内では1995年にProject 95がデビュー、以来着実なバージョンアップを続け、現在では同社の世界規模売上高において6番目の位置付けにあるという「ヒット商品」だ。

 とはいえ、日本国内の企業におけるプロジェクト管理アプリケーションの利用は、欧米と比較して4分の1から5分の1程度という状況。これはアジア地域の中で比較しても低い水準であり、同社としても「早急な対策を練る必要がある」(マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 本部長 横井伸好氏)と事態は深刻だ。特に、オフショア開発などでは世界標準的なプロジェクトマネジメントの手法が必要不可欠となる。こうしたものを早期に確立し適用していくことが、今の企業活動には欠かすことのできないものになってきていると横井氏は指摘する。

横井氏 マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 本部長 横井伸好氏

 一方で、プロジェクトマネジメントの普及を推進する団体の活動も活発になってきている。NPO法人であるPMI(プロジェクトマネジメント協会:本部は米フィラデルフィア)東京支部の瀬尾惠氏は、「IT産業界を中心に、国際資格であるPMP(Project Management Profession:プロジェクトマネジャー認定)の国内取得者が急増しており、2006年末には1万8000人に達した」と言う。毎年40〜80%の成長を続けるこの背景には、企業の活動が従来の分業体制をしいた定常業務の形態から、有機性および独自性を持ったプロジェクト単位による業務遂行形態へ移行していることがあげられる。瀬尾氏は、先進国における2001年の調査から、GDPの約4分の1がプロジェクト手法からの貢献だった例をあげた。

瀬尾氏 PMI(プロジェクトマネジメント協会)東京支部の瀬尾惠氏

 だがここでのポイントは、IT産業界が中心という点だ。瀬尾氏によれば、PMP取得者の75%がIT関連の従業者だという。また横井氏も、Projectの導入産業比率について「製造業と情報・サービス業が全体の69%」と指摘する。

プロジェクトマネジメントの課題:一極集中

 ここから、現在のプロジェクトマネジメントの課題が浮かび上がる。一部の産業分野では導入が進んでいるものの、政府機関や金融といった分野においては大きな遅れが見受けられる。ここに市場規模の小ささの一因がある。また、仮にプロジェクトマネジメントを導入していたとしても、「KKD(カン・根性・度胸)に頼った部分が大きく、ツールの利用もスケジュール作成どまり。リソース管理や進捗管理までは到達していない」(横井氏)とその実態はまだ成熟度が低いようだ。

 さらに、瀬尾氏は人材不足や処遇の問題も指摘する。プロジェクト遂行を支援する専門部署、PMO(Project Management Office)の設置で障害になるのが、こうした人材不足であり、予算確保だという。

 横井氏はこうした現状を改善していくために、同社が積極的に取り組んでいくことを明言する。新製品の投入はもとより、PMIとの連携やユーザー会の支援、技術者認定プログラムの活用などだ。

「業界に応じたプロジェクトマネジメントの活用法を紹介することによって、利用の裾野を広げる努力をしていきたい」(横井氏)

 この日は、MPUF(Microsoft Project Users Forum)のユーザーカンファレンスも同時に開催された。現在8400名を超える会員が参加しており、メーリングリストによる情報交換のほか、研究会などが活発に行われているという。こうしたユーザーによる活動が原動力となって、国内でのプロジェクトマネジメントの普及につながることを期待したい。

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