無線LAN環境の「高密度化」を実現、ファウンドリー

ファウンドリーネットワークスは、企業向け無線LAN製品「IronPoint Mobility」シリーズを強化し、より多くの無線LANクライアントの収容をサポートした。

» 2007年03月01日 22時17分 公開
[ITmedia]

 ファウンドリーネットワークスは3月1日、企業向け無線LAN製品「IronPoint Mobility」シリーズを強化した。最大256クライアントまでサポート可能な無線LANアクセスポイント「IronPoint Mobility RS4000」を追加するなど、より大規模な環境での導入に対応している。

 企業向け無線LAN製品の主流は、1つのアクセスポイント(AP)にあらゆる機能を集約した「ファットAP」から、集中管理機能とアクセスを提供するAPとの機能を分離させた「シンAP」へと移行してきた。IronPoint MobilityシリーズもシンAP型製品の1つだ。APのほか、各APの一元集中管理を行う「IronPoint Mobility Controller」、無線LAN環境全体の管理ツール「IronPoint Wireless Location Manager(WLM)」から構成されている。

 新たに追加された「IronPoint Mobility AP150」と同RS4000は、802.11a/b/gに対応した無線LAN APだ。AP150は最大128クライアントまで、RS4000は最大256クライアントまでをサポートし、オフィスはもちろん、大学の講堂や教室、ロビーなど、多数の無線LANクライアントが同時にアクセスする環境に適しているという。

256クライアントをサポートする「IronPoint Mobility RS4000」

 同シリーズの特徴は、「シングルチャネル」での展開をサポートしていることだ。一般に無線LAN導入時には、場所に応じて複数のチャネルを使い分けることが多いが、チャネル間の干渉を避けるためにいろいろな調整が必要になる。

 「APが数個ならばよいが、数十、数百もの数になれば干渉は避けられない。干渉が発生すればパフォーマンスが低下し、音声や動画といったアプリケーションに影響が及んでしまう」(米Foundry Networksのプロダクトマーケティングマネージャ、ジェームズ・クォン氏)

 これに対しIronPoint Mobilityシリーズでは、1つのチャネルを使い、その上でAPおよび端末間の通信を調整する仕組みを採用した。さらにRS4000では、TDMA(Time Division Multiple Access:時分割多元接続)と似たような仕組みで、各端末に公平に帯域を配分する「Over-the-Air QoS」の実装により、より多くの端末を収容できるようにした。ちょうどイーサネットにおけるコリジョン回避のようなイメージで、APや端末が帯域を「食い合う」状況を避けるという。

 セキュリティ面での強化も図った。「802.11iやWPA、WPA2といった標準が提供するのは認証と暗号化の機能だけだ。不正なAP、許可を得ずに設置されたAPを見つけ出すことはできない」(クォン氏)

 これに対しIronPoint WLM 2.02では、不正なAPをリアルタイムに検出し、場所を特定することができる。ユーザーをおびき寄せてID情報などを抜き取る「ハニーポット」的なAPを検出し、どのユーザーがそのAPにアクセスしているかまでを、グラフィカルに表示することが可能だ。さらに、ユーザーのロケーション(位置)に応じてアクセスの可否をコントロールする「Virtual Shield」機能も追加された。

 「現状の無線LAN環境はまだうまく動作していない。特に、音声通信をうまく載せることができていない」とクォン氏は指摘。今回発表した新製品によって、ユーザー密度の面でも、アプリケーション展開の面でも、今後の拡張に備えた無線LANインフラを提供できるとした。

 参考価格は、RS4000が27万4000円から、AP150は6万9000円、WLMは102万9000円。いずれも4月より出荷を開始する予定だ。

米Foundryのクォン氏(右)とシッフ氏

 なおファウンドリーは同時に、企業のワイヤリングクローゼットやデータセンターでの利用を想定した、コンパクトタイプのレイヤ2/3スイッチ「FastIron LS」もリリースしている。10GbEへの拡張やIPv6対応、セキュリティ機能も含め、基本的な機能は既存のFastIronシリーズとほぼ同等だが、省スペース化と省消費電力化を図った。

 「企業向けの製品では、ラックスペースや電力の節約が求められている」と、米Foundryのエンタープライズビジネスユニット担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャ、ボブ・シッフ氏は述べた。また、業務フロアでも気にせず利用できるよう、稼働音も抑えたという。参考価格は、24ポートモデルのFastIron LS 624が39万5000円、48ポートモデルのFastIron LS 648は59万3000円。10GbEイーサネットモジュールは9万2000円(CX4)からとなる。

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