「日本企業の情報活用は力不足」――オートノミーが目指す検索の自律化よく効くエンタープライズサーチの処方箋(1/3 ページ)

混沌とした情報の蓄積からいかに価値を見いだせるか――。この知的情報資産活用の難テーマに、オートノミーは、ケンブリッジで研究されたパターン照合技術と概念抽出技術で解を示すという。

» 2007年03月06日 08時00分 公開
[富永康信(ロビンソン),ITmedia]

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 オフィスワーカーは、1日のうちの30%の時間を文書検索、閲覧、作成に費やしているという調査結果がある。その内訳は、9%が検索、26%が閲覧、65%が文書作成となっているという。また、電子メールやオフィス文書などの非構造化データは3カ月ごとに倍増し、その85%の情報が二度と参照されず、さらに50%の情報が重複しているという。

 このことから、企業では日常の業務の中で時間をかけて情報を探し出している様が容易にうかがえる。エンタープライズサーチが注目されているのは、まさにこの無駄取りの部分で、短時間で情報を探したいというニーズが高まってきたからにほかならない。

 どうすれば混沌とした情報の蓄積から価値を理解することができるか――その知的情報資産の活用に解を示すというのが、オートノミーの立ち位置だ。

1000万クラスのドキュメント検索に対応するIDOL

 検索市場での売上高、マーケットシェア、利益率、顧客実績数などでトップの位置を占めるオートノミーは、グローバルで1万6000社、日本国内では既に400社の顧客を持つという。米国国務省、米国空軍、NASA、IBM、ボーイングなどそうそうたる組織がずらりと並ぶ。

 同社の技術の中核となるのが、「IDOL(Intelligent Data Operating Layer)」。企業の保有するデータの上位に配置することで、情報の概念的な理解をリアルタイムに実行するプラットフォームである。リポジトリの種類や、構造化/非構造化データを問わず、それらのデータの概念を自動的に分析、識別、優先順位付けし、プロファイリングする機能が特徴だ。100万〜1000万ドキュメントクラスの大規模なエンタープライズ検索に対応する。

 だが、現在日本でのエンタープライズサーチ市場のボリュームゾーンは、少し小さい規模を検索対象としているのではという指摘もある。

画像 「情報を広くキャッチアップする能力が求められている」と語る江川氏

 「自社の情報を横断的に検索することを考えた場合、対象とするドキュメント数はどれぐらいの規模になるか、たやすく想像はできないのが問題」と語るのは、オートノミーでセールスディレクターを務める江川亮一氏だ。「大企業の場合、初期段階でも100万ドキュメントクラスが必要となる。そのため、業務をどのようにスコーピングして、何の検索エンジンを導入するかは、当初から慎重に検討する必要があるだろう」(同氏)

 同社は、エントリーレベルの検索エンジン「Ultraseek」も提供しているが、こちらは主に企業のWebサイト内検索を担ってきた。一方、IDOLは企業の情報リソースすべてに接続して横断的な検索ができるような、より広い意味でのインフラの統合を目指すという点にフォーカスしている。

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