データベースもメモリに読み書き――インメモリDBという選択肢オラクルデータベースの新潮流(2/2 ページ)

» 2007年03月28日 08時00分 公開
[敦賀松太郎,ITmedia]
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Oracle Databaseと同じく扱えるインメモリDB

 オラクルが2007年2月に発売した「Oracle TimesTen In-Memory Database Release 7.0」は、インメモリデータベースのデファクトスタンダードである。米オラクルは2005年6月、TimesTenの開発元である米タイムズテンを買収、インメモリデータベースのテクノロジーを手に入れた。オラクルは買収直後の2005年10月、旧タイムズテンが開発していた新バージョン「TimesTen In-Memory Database 6.0」を発表。キャッシュ技術の改善により、キャッシュ更新のスループットやキャッシュのロード時間を大幅に高速化されたほか、Oracle Database 10gとの連携、Java APIをサポートするなどの新機能が盛り込まれた。

 それから約1年半後に発売したTimesTen 7.0は、オラクルが社内で開発した初めての新バージョンであり、Oracle Databaseのリアルタイムキャッシュとしての性格を強めた製品になっている。

 TimesTen 7.0の新機能としてまず挙げられるのが、Oracle Database 10gとデータ型の動作を一致させたことである。Oracle Database 10gの主要なデータ型はTimesTen 7.0でもサポートされため、Oracle Databaseを利用して運用されている既存の高トランザクションアプリケーションを大きく改良することなく、TimesTenを導入できるようになっている。同様に、Oracle Database 10gの拡張SQLがサポートされており、Oracle Databaseに特化したアプリケーションであっても問題なく導入できる。

 もちろん、キャッシュ機能も強化。アプリケーションからのリクエストに応じて、Oracle Database 10gのレコードをTimesTen上のデータストアにロードする「動的データローディング」、使用頻度が低いキャッシュデータを自動的に削除する「自動データエージング」という新機能が用意されている。

 TimesTen 7.0には、サーバ間のデータレプリケーションにより、高可用性と負荷分散を実現する「Replication-TimesTen to TimesTen」、TimesTenをOracle Databaseのアプリケーション層のキャッシュとして利用する「Cache Connect to Oracle」などのオプション製品も用意されている。

データベース高速化ソリューションとして定着するか

 TimesTenはこれまで、金融や証券業界におけるリアルタイム取引のシステム、テレコム業界の各種通信インフラシステム、ミッションクリティカル性が要求されるWebアプリケーション(チケット予約サイト、オンラインゲームサイトなど)といった市場に数多く導入されてきた。しかし、TimesTen 7.0によってOracle Databaseとの親和性を高めたことにより、Oracle Databaseを利用するあらゆる企業システムでも、アプリケーションのデータベースアクセスを高速化する手段として、TimesTenを手軽に導入できるようになった。

 インメモリデータベースの認知度はまだまだ高いとは言えないが、今後はOracle Databaseを利用するあらゆるアプリケーションに適用可能なソリューションとして、積極的な導入が進むものと予想される。

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