ユーザーのニーズから誕生したOracle Advanced Customer Services拡充を続けるオラクルのサポート・サービス

オラクルの「Oracle Advanced Customer Services」(オラクル・アドバンスト・カスタマー・サービス、以下ACS)は、どのような仕組みで提供されているのだろうか。また、どのような背景で登場したのだろうか。そして、オラクルはサポート・サービスを今後どのような考えで提供していくのか。前編に引き続き、カスタマーサービス統括本部 アドバンストカスタマーサービス本部 倉持謙一本部長に聞いた。

» 2007年04月02日 00時00分 公開
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ACSのサービスの背後にある仕組み

 ACSでは、「サービス・デリバリ・マネジャー」(以下:SDM)またはPriority Serviceでは「プライオリティ・サービス・マネジャー」(以下:PSM)が、顧客専属の担当としてアサインされる。そして、オラクルの製品サポート・チームや製品開発部門と連携して、顧客の支援を行っている。倉持氏は、SDMやPSMを「かかりつけの主治医」、サポート・チームを「専門医」になぞらえて、次のように説明している。

 「SDMやPSMは主治医として、お客様のシステムを日頃からチェックしています。そこで問題があって、高度な技術が必要となった場合には、主治医からサポート・チームという専門医に情報を伝え、対処するというわけです。ACSをご契約されているお客様の情報は、オラクル社内の顧客データベースである『Customer Monitoring System』に登録してあり、社内で共有されていますので、米国の製品開発部門で修正パッチを作る必要が生じた場合でも迅速な対応が可能です。つまり、オラクル全体がお客様のことを知っている、というわけです」

photo ACSのサポート体制

 もちろん、技術サポートのステータスもオラクル社内のデータベースで管理されており、SDMやPSMは常にチェックしている。そして、顧客システムの状況を把握しているからこそ、プロアクティブな情報提供も可能になっているのだ。

 「技術サポートの各項目について、お客様のビジネス状況に合わせて対応の優先順位を決め、エスカレーションしていくといった調整も、SDMの仕事の一つです」(倉持氏)

オラクルのサービス全体の中での位置づけは?

 オラクルでは、製品サポートのOracle Premier Supportおよび「アドバンスト・サポート」と称するACSとOracle On Demandに、Oracle ConsultingやOracle Universityと合わせて、Oracle Servicesというトータルなソリューションとして考えているという。

 「これらはメニューありきのサービスではなく、システムのライフサイクルを通じた大きな観点の中で、最適な利用状況をご提供できるよう、適切なメニューを当てはめてお使いいただけるような形にしていこうと考えています」(倉持氏)

 たとえば、Oracle Universityはシステムのライフサイクル全般に関わっている。Oracle Consultingも同じくライフサイクル全体をカバーしているが、なかでも特に企画/要件定義フェーズに重点を置いている形だ。

 「そしてACSは、設計/開発フェーズで特に役立ちます。たとえば、トラブルを防止する『べからず集』のような形でお使いいただけますし、開発期間が1年くらいかかる場合には、本番稼働時に新バージョンの製品が登場している可能性もありますが、その製品のバージョンアップ支援もできます。運用段階でいえば予防保守なども可能です。一方、Oracle On Demandは運用フェーズが中心ですが、運用設計に関しては前の方のフェーズにも関わっている、という形になっています」(倉持氏)

ACS拡充のねらいはどこにある?

photo 日本オラクル カスタマーサービス統括本部 アドバンストカスタマーサービス本部 本部長 倉持謙一氏

 「Oracle Priority ServiceとOracle Solution Support Centerを追加したのは、従来からご提供してきたOracle Business Critical Assistanceの上下にあるサービス・ニーズにお応えしたいという考えによるものです。また、過去数年間にいくつかの買収を行った結果として、オラクルの扱うサポート対象製品が増えたこともあって、それらの製品もきちんと安心してお使いいただけるようにしたい、という目的もあります」と、倉持氏はACS拡充の意図を説明する。

 サポートに対するニーズは、事業内容やシステムの規模などによってさまざまだ。メニューが1つだけでは、うまく適合しないケースも少なからず存在するだろう。

 たとえばPriority Serviceは、その製品に精通した技術者がいるなら、あまり重要でないサービスと感じるかもしれない。しかし年間625万円からという価格体系は、オラクル製品に精通した技術者1人を雇ったと考えれば、むしろリーズナブルと言えるだろう。そこに存在意義があると倉持氏は言う。

 「Oracle Fusion MiddlewareやOracle E-Business Suiteなどでは、Oracle Databaseと比べると製品のエキスパートが世の中にまだ少ないというのが実状です。ですから、必ずしもその製品を熟知したエンジニアがプロジェクトに多数参加しているとは限らないでしょう」

 製品に精通したエンジニアがいない場合には、必要なパッチの存在や「してはいけないこと」を知らないままプロジェクトが進み、意外なところで時間がかかってしまうといったトラブルも考えられる。そういった問題を、比較的安価にカバーできるのがPriority Serviceのメリットだ。実際にトラブルが生じれば、システム導入プロジェクトの遅れや、予定外の作業の発生で大きな損失が生じることは間違いない。

 一方、Business Critical AssistanceやSolution Support Centerは運用フェーズも視野に入れたサービスとなっている。これらのプロアクティブなサポートは障害を予防するのに役立つ。ミッション・クリティカルなシステムがダウンしてしまえば、どれだけの損害が生じることだろうか。

パートナーとの積極的な協業も視野に

 現在、ACSのパッケージ・サービスは約30社、40システムほどで利用されているという。

 「お客様としては、日本のライフラインを支えるインフラ系の企業、特に金融や通信といった業界が中心です。やはり、ミッション・クリティカルなシステム運用にACSは欠かせないと言えるでしょう。今後も業種を問わずメインフレームからのダウンサイジングが進んでいきますので、ACSは今後さらに重要性を増してくると思われます」(倉持氏)

 ミッション・クリティカルなシステムの運用を支援し、高可用性を実現するACS。サービス・メニューが拡充されたこともあって、事業も大きく拡大している。事業予算としては、今年度で5割増を実現する見込みで、来年度は7割増の予算を立てているとのことだ。

 「体制としては、サービスの増加に合わせて毎月のように人が増えているという状況です」(倉持氏)

 一方、オラクル単独でなく、サポート・パートナー企業との協業でACSを提供していくことも検討されている。

 パートナーとの協業は、顧客とパートナーとの関係、パートナーとオラクルとの関係など、個々のプロジェクトで事情は大きく異なる。そこで、オラクルでも柔軟なサービス提供スタイルを検討しているという。

photo

 「お客様とパートナーとの関係に応じて、いろいろな契約スタイルが考えられます。たとえば、パートナーが独自にHA(High Availability:高可用性)サポートを提供しているケースも多いですよね。そういったパートナーとのアライアンスの中では、パートナーのHAサポートのメニューの一つとしてACSを提供していく、といった形も視野に入れています」(倉持氏)

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提供:日本オラクル株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2007年4月30日