Palm、LinuxベースのOSで巻き返しへ(1/2 ページ)

長い間待たれていたことが、ようやく実現するかもしれない。Palm, Inc.の社長兼CEOであるエド・コリガン氏が、先だって、年内にLinuxベースのモバイル機器を発売するという同社の計画を投資アナリストに明らかにしたのだ。

» 2007年04月19日 08時30分 公開
[Lisa-Hoover,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

 長い間待たれていたことが、ようやく実現するかもしれない。Palm, Inc.の社長兼CEOであるエド・コリガン氏が、先だって、年内にLinuxベースのモバイル機器を発売するという同社の計画を投資アナリストに明らかにしたのだ。これに対して、モバイル・コンピューティング・コミュニティーには、歓迎から警戒まで、さまざまな反応が見られた。

 Palm 機器向けにLinuxをベースとするオペレーティングシステムが出るといううわさは何年も前からあった。Palmは2003年にPalmSourceを設立してPalm OS事業を同社に移し、Palm, Inc.自体はハードウェアに専念することにした。そのPalmSourceは2004年にLinuxをベースにPalm OSの新版を開発すると発表したが、2005年に日本のモバイル・ソフトウェア・メーカーAccess, Inc.により買収された。

 そして、昨年12月、Palmは、AccessのGarnetオペレーティングシステムのソースコードに対する恒久的権利を4400万ドルで取得した。Palm OS Garnetとして知られていたオペレーティングシステムである。Accessには、これと互換性があり、ほとんどの標準Palmアプリケーションがわずかな変更でLinuxをベースとする機器で動作可能になるAccess Linux Platformもある。

 Garnetコードを取得した理由について、Palmは同社のWebサイトで次のように説明している。「当社は、今後、当社製品の差別化戦略に応じてPalm OS Garnetを発展させていきますが、その際、現在Palm OS Garnetと互換性のあるアプリケーションがわずかな変更で、あるいはまったく変更なしに、将来のPalm OS Garnet搭載製品でも動作することを保証するためです」

 Palmは最近ニューヨークでInvestors Dayを開催しているが、コリガン氏はその基調講演の中で同社の計画に触れ、この動きの狙いは「複雑さの低減、迅速な商品化、コストの削減、信頼性と品質の向上」にあると述べた。

 コリガン氏は新オペレーティングシステムの詳細を明らかにしなかったが、ほかのハードウェアメーカーにライセンスすることはなくPalm専用になると語っている。しかし、不思議なことに、Palmはコリガン氏の発言について固く口を閉ざしており、Linux.comで「これに関する会見の予定はない」と宣言した。

Palmユーザーは楽観的だが慎重な姿勢を崩さず

 このニュースについて、モバイル・コンピューティング・コミュニティーには、ハッキングと回避策を駆使してPalmベースの機器上でLinuxを動かしているユーザーを中心に、歓迎する向きもあるが、多くのユーザーは慎重だ。Palm Addictの編集長サミー・マクローリ氏は、携帯機器ユーザーにとってLinuxベースのオペレーティングシステムにより柔軟性が増すのはよいが、新OSの話は「いつか聞いた話」だという。

 「全体としては、携帯コミュニティーは肯定的に受け止めています。しかし、果たされることのなかったかつての約束の二の舞になるのではないかという懸念を多くの人が漏らしたとしても驚くには当たりませんし、携帯機器市場の競争が激化している今、小出しかつ遅すぎです」

 「(しかし)素晴らしいオペレーティングシステムを真っ先に導入したPalmですから、またやってくれると思います。第一級のOSを導入し、これまで言ってきた通りモバイルインターネットに専念し、わたしたちが必要なデータを持ち歩いてマルチメディア機能を活用できるようにしてくれるでしょう」

 そして、開発者にとっても一般ユーザーにとっても、既存アプリケーションと新オペレーティングシステムの互換性は重要だと指摘する。「みんな愛用しているプログラムがLinuxでは動かないかもしれないと心配しています。しかし、Palmは確実に互換性を優先するだろうと思います」

 「開発者も、もっと詳しく知りたいと思っているでしょう。Palmはコミュニティーを悩ませてきましたが、今は、みんな詳細を知りたいと思っています。わたしが話をした開発者の多くは、開発スケジュールを知りたいといっていました。自分のプログラムを新しいオペレーティングシステムの条件に合わせる必要がありますから」

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