特集
» 2007年04月20日 13時53分 公開

Review:CentOS 5――堅牢なエンタープライズ向けOS (1/2)

Red Hat Enterprise Linux 5のソースコードから構築されているCentOS 5がリリースされた。仮想化などの新機能を追加しながらも堅牢さと信頼性というこれまでのCentOSの伝統を引き継いだリリースとなっている最新バージョンをレビューする。

[Gary-Sims,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

 CentOSプロジェクトが先週、エンタープライズ向けLinuxディストリビューション「CentOS」の2年ぶりのメジャーリリースであるバージョン5をリリースした。そこで今回CentOS 5をダウンロードして試してみたところ、CentOS 5は仮想化などの新機能を追加しながらも堅牢さと信頼性というこれまでのCentOSの伝統を引き継いだリリースであることが分かった。

 CentOS(Community ENTerprise Operating System)ディストリビューションの最新版であるCentOS 5は、フリー(GPLや同様のライセンス)で利用可能になっているRed Hat Enterprise Linux 5のソースコードから構築されている。現時点で対応しているプラットフォームはx86(i586とi686)とx86_64(AMD64とIntel EMT64)だが、IA64などほかのプラットフォームにも近日中の対応が予定されている。

 ほかのサーバ向けディストリビューションと比べた場合のCentOSの主な利点としては、フリー(無料/自由)であるという点以外にも、揺るぎない信頼性と、各リリースのライフサイクルが長いということがある。CentOSプロジェクトでは、CentOS 3については2010年まで、CentOS 4については2012年までメンテナンスアップデートを提供することを予定しており、これらに続く形でCentOS 5についても少なくとも2014年まではメンテナンスが活発に行なわれることになっている。

 CentOS 5は、CD 6枚組(64ビット版はCD 7枚組)またはDVD 1枚組として提供されている。今回わたしはDVD版をダウンロードし、それを使ってサーバを構築した。CentOSのこれまでのリリースやFedora Coreと同様にインストールは簡単で、特にLinuxのインストールに慣れている人であれば難しいということはまったくないはずだ。インストールは、インストール手順の指示も画面に表示されるグラフィカルインタフェースを使って行うことができるが、その場合は最低512Mバイトのメモリが必要となる。なおテキスト版のインストーラもあり、こちらを使用する場合は最低128Mバイトのメモリがあれば良い。インストールを新しいサーバ上で行う場合などすべてのディスクを再フォーマットしても良いというときには、ディスクのパーティーショニングを行う際「自動パーティーショニング」オプションを利用すると時間を非常に節約することができるだろう。ただしRAIDを使ってより複雑な設定を行ないたい場合などには、ディスクのパーティーショニングを手動調整する必要がある。わたしの場合、テスト用サーバがデュアルブートマシンだったため、CentOSを空きパーティーションにインストールするように手動調整してディスクのパーティーショニングを行なった。インストールは特に問題なく進み、インストーラがマシン上の別のOSの存在を正しく認識しブートローダの設定を正しく行なってくれた。

収録パッケージ

 Red Hat Enterprise Linux 5とCentOS 5の主な相違点の1つとして、CentOS 5にはRHELのサーバ版とクライアント版の両方のパッケージが含まれているということがある。Red Hatのレポジトリがすべて一つにまとめられているので、エンドユーザーがパッケージをより簡単に扱うことができるようになっている。

 CentOS 5には、通常期待されるサーバ関連のソフトウェアのすべてが含まれている。CentOS 5のカーネルはLinux 2.6.18で、大規模なメモリやデータをサポートするためのエンタープライズ向けの調整が幾らか行なわれている。また、Apache 2.2.3(32ビットのハードウェアプラットフォーム上での2Gバイト以上のファイルのサポートに対応済み)、MySQL 5.0.22、PHP 5.1.6が含まれている。そのほかにもPostgreSQL 8.1.4や、BIND 9.3.3、Windowsマシンとファイルを共有するためのSamba 3.0などといったサーバ向けのコンポーネントが含まれている。さらにメールサーバ用ソフトウェアとしてPostfix 2.3.3やsendmail 8.13.8に加え、IMAP/POP3デーモンのCyrus 2.3.7や同Dovecot 1.0が含まれている。

 一方デスクトップ用のソフトウェアとしてはCentOS 5には、GNOME 2.16とKDE 3.5.4が含まれている。またOpenOffice.org 2.0.4、Web閲覧用のFirefox 1.5.0.10、電子メール用のThunderbird 1.5.0.10などが含まれる。ほかにもCentOSにはCD作成から写真/画像操作に至るまで、デスクトップ用アプリケーションが幅広く含まれている。最先端のアプリケーションは含まれていないが、最先端からやや遅れた版を含めているのは「信頼性が低い可能性のある新しい版のパッケージを使うよりも、実績が証明済みの枯れたパッケージを使う方が良い」というCentOS 5の考え方の現れだ(編注:これはCentOSの方針というよりも、Red Hatの方針というべきだろう。CentOSプロジェクトは、Red Hat Enterprise Linuxのソース・パッケージに対して商標に関する変更以外は手を加えないというポリシーを掲げているからだ)。

仮想化

 CentOS 5での最大の変更点の1つは、仮想化技術のXenが含まれていることだ。仮想化とは、ゲストと呼ばれる複数のオペレーティングシステムを単一のサーバ上で同時に実行することを可能にする技術だ。つまり仮想化技術を使うと、ホストサーバ上でCPUとメモリを共有する仮想PCまたは仮想サーバを実行できるようになる。仮想化パッケージを含めるかどうかはインストール時に選択できる。

 Xenを使用すると、サーバは同時に複数のCentOS 5を単一のハードウェア上で実行することができる。CPUがIntel VT技術やAMD SVM技術でハードウェア仮想化をサポートしている場合には、Windowsなど任意のゲストOSを何ら特別な修正を施すことなしにホストすることもできる。

 CentOS 5では、ゲストOSのインストールと管理のためにvirt-installとvirt-managerという2つのツールが提供されている。virt-installは仮想マシンのインストールと設定を行うためのシンプルなコマンドラインプログラムだ。virt-managerは稼働中の仮想マシンの監視と管理を行うためのGUIプログラムで、CPUやメモリの使用状況についての詳細情報の表示や、稼働中の仮想マシンの停止などを行うことができる。

 なお、CentOS 5では仮想マシンのOSを物理DVDからインストールすることはできないという点に注意しよう(編注:準仮想化の場合の制限、完全仮想化ではこの制限はない)。VMwareやSUSE Linux Enterprise Serverとは異なりCentOSではインストールツールで物理デバイスがサポートされていないため、インターネット(HTTP)経由かNFSにマウントされたDVD経由かのどちらかによるネットワークインストールしか行うことができない。CentOSがLinux上の仮想化という観点でトップに立つディストリビューションを目指すのであれば、この点を解決する必要があるだろう。

 CentOSの開発者たちが仮想化に関して信頼性を高め実用レベルにするために多くの作業を費やしてきたものはXenであるものの、Linuxで利用可能な仮想化技術は当然ながらXenだけではなく、CentOS 5でも、例えばVMwareInnoTekの仮想化製品なども動くはずだ。

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