Linux開発者はSunで何をしているのか

Debian創設者で、Sunのオープンソースプラットフォーム戦略責任者を務めるイアン・マードック氏が、OpenSolarisやLinuxについて語った。

» 2007年05月09日 15時24分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 Linux開発者はSunで何をやっているのか?

 それが、Sun Microsystemsのオープンソースプラットフォーム戦略責任者イアン・マードック氏が、司会を務めたSunのCommunityOne Dayのセッションで問いかけた疑問だ。このセッションは5月7日、JavaOneカンファレンスの開幕前に行われた。

 「なぜわたしがここにいるのか? 『Linux開発者がSunで何をしているのか? 宗旨替えをしたのか?』」という質問をよく受けると、マードック氏は語った。「そういう見方をわたしはしていない」

 1993年からLinuxを使っており、LSB(Linux Standards Base)会長のマードック氏は、「Linuxが欲しいと言っている人は、実際にはLinuxが欲しいという意味で言っているのではない。彼らが欲しいのは、Linuxユーザー環境とLinuxビジネスモデルだ。彼らは選択肢を望んでいるのだ。彼らはLinuxディストリビューションを求めており、わたしはLinuxディストリビューション開発者だ」と語った。

 マードック氏はDebian Linuxディストリビューションの創設者で、Linux FoundationのCTO(最高技術責任者)だ。

 マードック氏は、Netscapeで有名なマーク・アンドリーセン氏がSolarisはLinuxよりも優れたLinuxだと言ったことに触れ、両者の違いを挙げて比較した。

 マードック氏は、基盤となる金属層から始まって、Linuxには基本レベルのハードがあり、その上の層がLinuxカーネルで、それからシステムライブラリ、GNUユーティリティ(Posixライブラリなど)、X Window System(あるいはKDE)、Mozilla Firefoxがあると語った。

 「Solarisはカーネルが違う点を除いてこれと似ている」(同氏)

 このためSolarisを「Linuxよりも優れたLinux」にするには、まずなじみがないという問題を克服する必要がある。これはつまり、Solarisをどのようにコンピュータに載せるか、ノートPCなどの最近の開発者向けワークステーションのサポートをどのように改善するかということだと同氏は述べた。

 「基本的な解決策は、Solarisスタックの1つの層を置き換える――UNIXユーティリティを外して、GNUユーティリティを入れることだ」と同氏は言う。

 「重要なのは、フォークリフトアップグレード(全体を買い換えること)はしないということだ。Linuxに関しては、維持したいもの――後方互換性――があるからだ。これはLinuxがうまくやれていない点だ」(同氏)

 その後マードック氏はOpenSolarisに触れ、多くの人がOpenSolarisはコミュニティー版Solarisなのかと尋ねていると話した。「OpenSolarisはOSではない。おそらくこの点にLinuxユーザーは混乱しているのだろう。だからSolarisに対する見方を変える必要がある。そうすれば、Red HatとFedoraのように、自分自身と競合することはない」

 さらに同氏は、「論理的な結論から言うと、SolarisはLinuxディストリビューションの1つに見えてくる。もしそうなら、われわれは失敗したということだ」と語った。

 同氏はそれから、Ruby on Railsで書かれたTwitterがどのように大きなボトルネックとパフォーマンス問題に直面したかという話をした。だがこの問題は対処可能だった。同サービスはSolarisで動作しており、DTraceプロファイリングツールで問題を特定できたためだ。しかし、ここで大事なのは「巨人の肩の上に立つことだ」と同氏は述べた。「一からやり直す必要はない」

 またマードック氏は、コミュニティーの構築は「クリティカルマスという」真の目標達成に重要だということは分かっていると語った。「OpenSolarisの場合、Sunはうまくコミュニティーの種子をまいてきたと思う。だが現時点ではこのコミュニティーは主にSunの人々で構成されている」と同氏。

 最後に、Sunでの「日常的な仕事」について、同氏は「Linux開発者がSunで何を提供するかを見出すことだ」と説明した。「われわれはA地点にいて、B地点に行こうとしている。そのためのプランを組み立てている」

 それから、もっと具体的な発表を行う時期について、同氏は「重要な記念日がやって来る。その時何かが起きると期待してもらっていい」とほのめかした。6月14日には、OpenSolarisプロジェクトが2周年記念を迎える。

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