インストーラ開発ツールの代名詞、InstallShield最新版の魅力とSaaS時代への対応とは

Windows Vistaの普及に伴い必要とされるインストーラ開発ツール、その分野の製品において不動の地位を獲得しているInstallShieldの最新版の魅力とSaaSへの対応に迫ってみた。

» 2007年05月30日 11時02分 公開
[聞き手:藤村能光,ITmedia]

 インストーラ開発ツール「InstallShield」の最新版「InstallShield 2008 Windows 日本語版」が5月23日に発売された。今年度内にリリースが予定されている「Windows Server 2008」のほか、「Windows Embedded CE 6.x」といったOS上で動作するアプリケーションのインストーラ作成に加え、SaaS(Software as a Service)に対応したWebアプリケーションのインストール環境の開発など、インストーラの機能をさらに充実させた製品となっている。

 新製品の特徴や魅力、InstallShieldを取り巻く現状に関して、マクロヴィジョン・ジャパン・アン・アジアのデビッド・ローリー代表取締役に聞いた。

画像 マクロヴィジョン・ジャパン・アン・アジアのデビッド・ローリー氏

ITmedia InstallShieldシリーズについてお聞かせください

ローリー InstallShieldは、インストーラ開発ツールのデファクトスタンダードとして多くのソフトウェア開発者に利用されている製品です。InstallShieldの特徴として、市場に出てくるさまざまな技術を絶えず新しいものに対応させるように開発を行っていることが挙げられます。複雑化するIT環境の中で、開発者、エンドユーザーの両方に対して新しい技術を簡単に使っていただくことを常に意識しています。今回、「InstallShield 2008 Windows 日本語版」をリリースしたことで、日本の市場に対して、弊社のもっとも新しいサービスを提供します。

ITmedia 日本市場では、InstallShieldはどのように受け入れられていますか?

ローリー 日本におけるInstallShieldの売り上げは年々伸びています。毎年10%ほどの伸びを記録していましたが、2006年は30%と非常に売り上げを伸ばしました。日本での需要が確実に増えてきているのは、やはりVistaによる効果が大きいといえるでしょう。

ITmedia 最新版となるInstallShield 2008 Windowsの特徴について教えてください。

ローリー Microsoftでは、Vista対応製品に関する品質基準を定めており、そのMicrosoft基準を満たした場合にロゴの掲示を認める「Windows Vista ロゴ プログラム」を展開しています。この認定にパスできるよう開発時にインストレーションのテストを行うことが可能になりました。加えて、新たにデジタル署名のサポート機能が拡張されています。Windows XPではデバイスドライバに対してのみ署名のチェックがありましたが、Vistaではその機能がアプリケーションにまでおよんでおり、ソフトウェアが本物かどうかをチェックできるようになっています。このほか、現行のInstallShield Windows 12と比べて約250以上の変更を加えました。

 またInstallShieldの姉妹品で、MSIパッケージやパッチを迅速に用意するためのソリューションを提供する「Admin Studio」の日本語版を今秋から発売予定です。

ITmedia 日本でのVistaの移行動向についてはどうみていますか。

ローリー 日本の市場もほかの市場と似たところがあり、まだまだ様子見という姿勢が強いでしょう。しかし、最近になってハードウェアへのサポートが強化されるなどしており、徐々に導入が進んでいくのは間違いありません。Microsoftによると、米国ではVistaの販売台数が計4000万本近くに上ったことが発表されました。この動きを受けて、2008年には出荷PCの80%に Vistaが搭載されると予測しています。2008年に、Vista導入に関して大きな流れが来るのではないでしょうか。

 InstallShieldのユーザーは主に、コンシューマー向けのソフトウェアを開発する企業、エンタープライズ向けのビジネスアプリケーションを開発する企業、製品を再パッケージする企業の3種類に分けられます。このうちVistaの購入が進んでいるのは、コンシューマー向けのソフトウェアを開発する企業です。つまり、InstallShieldの需要が一番大きくなるのもこの層であると予想されます。とはいえ、これからはビジネスアプリケーションを開発する企業が順次Vistaに目を向けていくことでしょうから、アプリケーション分野で同製品の需要が大きくなるでしょう。

ITmedia InstallShield 2008 Windowsの新たな機能としてSaaSサポートが導入されました。日本のユーザーの間では、SaaS製品に対する関心が高まっています。同製品のSaaSサポートについてお聞かせください。

ローリー 顧客とサーバの両方に、コンピュータや周辺機器をすぐに使用できるような設定を簡単に行うことを目標とするわれわれにとって、SaaSはとても興味深いトピックです。今回新たに加わったSaaSサポートは、主に顧客とサーバの2つに対応したものとなっています。顧客がアプリケーションをインストールする時に、われわれは顧客がサーバ側とセキュアに通信できるよう、SSLのサポートを行っています。またIIS(Internet Information Service)7.0などの新しい技術を支援して、サーバ拡張に対する新たな設定を行い、顧客がアプリケーションを簡単にインストールできるようにしています。

 InstallShieldに加えて、SaaS対応のセキュリティ製品と位置付けられる「FLEXnet Connect」があります。これらを通じて、開発者が抱えるインストーラ開発の問題を解決するツールを提供していきたいと考えています。

画像 写真左からマクロヴィジョンコーポレーション チャネルマネージャーのジミー・キム氏、マクロヴィジョン・ジャパン・アン・アジア 代表取締役のデビッド・ローリー氏、同社マーケティングマネージャーの岸雅之氏

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