金融拠点のWi-Fiアクセスポイント急増で気になるセキュリティ問題

無線LANアクセスポイントのセキュリティレベルは徐々に上がっているものの、デフォルト設定でセキュリティがかかっていないものも相当数存在する。

» 2007年06月16日 08時23分 公開
[ITmedia]

 世界主要金融都市3都市(ロンドン、ニューヨーク、パリ)の無線LANアクセスポイントは、急速な勢いで増えている――米EMCのセキュリティ部門RSAが6月14日、調査報告書を発表した。

 2006年から2007年にかけてもっともアクセスポイント数の増加率が高かったのはロンドンで、前年比160%増だった。ニューヨークは49%増、パリは44%増。ビジネスアクセスポイントのみでも、首位はロンドンで180%増。ニューヨークは57%増、パリは45%増だった。

 最新の暗号化システムやWEP(Wired Equivalent Privacy)を導入しているかどうかのセキュリティ調査では、ロンドンが過去1年間で、ビジネスワイヤレスネットワークでは大幅にセキュリティが向上していることが分かった。一方ニューヨークとパリの改善率はわずかだった。ロンドンでは、ビジネスワイヤレスネットワークのセキュリティ導入率が2006年の74%から2007年には81%に上昇したが、ニューヨークでは2006年の75%から2007年は76%、パリでは同78%から80%だった。

 WEPはさまざまな欠陥が指摘されており、より最新の暗号化システムの導入が推奨されている。今回の調査では、ロンドンではセキュリティがかかっているビジネスアクセスポイントの48%で最新暗号システムが導入されていた。一方パリでは、保護されたアクセスポイントのうち最新セキュリティシステムが導入されていたのは41%とロンドンに比べてやや低く、ニューヨークは49%でロンドンとほぼ同じだった。

 しかし、ロンドン、ニューヨーク、パリのビジネスワイヤレスネットワークの20〜25%はセキュリティ対策がなされていないことが、今回の調査から明らかになっている。

 またアクセスポイントの設定がデフォルトのままになっているケースが多いことも判明した。ロンドンでは、デフォルト設定のアクセスポイントは30%で、2006年の22%からむしろ増えている。ニューヨークでは2006年の28%から2007年は24%と若干改善。パリは2006年の21%から2007年は13%と、もっとも改善率が高かった。

 喫茶店や空港、ホテルなど、公共アクセスポイント(ホットスポット)の数も増え続けている。2006年の調査で探知できたロンドンの公共アクセスポイント数は364カ所、2007年は461カ所と27%増えた。ニューヨークでは2007年の前年対比増加率は17%で、すべてのアクセスポイント中、公共アクセスポイントの占める割合は15%と、3都市で最も多かった。パリでの公共アクセスポイント増加率は37%、全体に占める比率は11%だった。

 これら公共アクセスポイントの近くに、かなりの数の保護されていないビジネスネットワークが存在し、間違ってあるいは故意にアクセスされる可能性が高いとRSAは警告している。今後さらにアクセスポイントとそれを利用するユーザー数が増えれば、セキュリティの甘いビジネスネットワークは相当な脅威にさらされると指摘している。

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