エントラスト、低価格のOTPハードウェアトークンを自社ブランドで発売

エントラストは、ワンタイムパスワード(OTP)のハードウェアトークン「Entrust IdentityGuard Mini Token」を2500円という低価格で発売する。

» 2007年06月22日 08時00分 公開
[真実井宣崇,ITmedia]

 エントラストは6月21日、ワンタイムパスワードのハードウェアトークン「Entrust IdentityGuard Mini Token」を発表、同日より発売を開始した。現在市場に出回るハードウェアトークンに比べ大幅に価格を引き下げたのが特徴。

画像 すでにワールドワイドで100万人以上のユーザーが利用中だというIdentityGuard Mini Token

 ネット決済の手段として、その安全性からワンタイムパスワード(OTP)認証とOTPを生成するハードウェアトークンが金融機関を中心に徐々に浸透しつつあるが、高価な点から本格的な活用にはまだ壁があった。

 同社が投入したIdentityGuard Mini Tokenは、同社の認証サーバ「Entrust IdentityGuard」のオプションとなるもの。初めて自社ブランドで販売する。1台当たり2500円と、価格をかなり抑えたという。エントラストは、これまでオランダのVasco製のトークンを扱っていたが、やはり価格面でユーザーには厳しかった。宮部美沙佐子マーケティング部長は「エントラストのユーザーは企業単位で見ても大変な数。そうした中、ハードウェアでの売り上げは当初から念頭に置いていない。あくまでユーザーの導入のしやすさを重視した」と、戦略的な価格設定の理由を説明した。

画像 宮部美沙子マーケティング部長

 IdentityGuard Mini Tokenには、イベントベースで同期するOTPを生成する「OE型」および、時間とイベントの2つで同期するOTPを生成する「AT型」が用意されている。前者は、OATH(Initiative for Open Authentication)が定めたオープン規格HOTPアルゴリズムを採用し、他社製ソフトと広範な互換性を持つ。後者は、DES/3DES暗号に基づいた独自のアルゴリズムを採用して、より強力なセキュリティを施している。

 IdentityGuard Mini Tokenの外形寸法は長さ45×幅38×高さ11mmで、重さは25グラム。操作ボタンが1つだけというシンプルかつコンパクトなデザインだ。電池寿命はこれまでおおむね3〜5年であったのに対し、OEではは8年、ATでは6年を実現した。また、1メートル防水設計となっている。これにより、「コスト的には、われわれのユーザーのような数万人ベースの企業ニーズにも応えられるようになった」(宮部氏)。

画像 エントラストの保坂真社長

 保坂真代表取締役社長は「OTP生成の分野は、周知のようにRSAやセキュアコンピューティングなどが先行しているが、われわれは製品が低価格とはいえ、この分野に切り込んでいく意図はない。あくまで新製品をEntrust IdentityGuardに加えてフルラインアップ化し、認証強度を向上させると同時に、システム全体での普及を目指したい」と、セキュリティ市場において慎重かつ堅実な基盤作りを考えているという。

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