MS、悩めるMBSグループに新リーダーを指名

Microsoftのビジネスソリューショングループリーダーにキリル・タタリノフ氏が就任。ERP市場でのMSのプレゼンス確立に取り組む。

» 2007年07月03日 18時20分 公開
[Renee Boucher Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftは6月30日、数カ月にわたる候補者探しの末、Microsoftビジネスソリューション(MBS)グループの新リーダーを指名したと発表した。

 Microsoftでは、ビジネスアプリケーショングループの責任者のポジションが埋まることにより、同社内での位置付けがはっきりせず、ERP(Enterprise Resource Planning)市場でプレゼンスを確立するのに苦労してきた同グループの方向性が定まるものと期待している。

 MBSチームを率いることになったのは、ロシア出身で5年前からMicrosoftに勤務しているキリル・タタリノフ氏だ。MBSグループでは、4種類のERPスイートに加え、近くリリース予定の社内導入/オンデマンド型のCRM(カスタマーリレーションシップ管理)スイートを開発している。同グループは当初、ダグ・バーガム氏が統括していた。

 バーガム氏は、Great PlainsのCEOとしてMicrosoftに入社した。同社は、Microsoftが2001年にMBS部門の基盤となる組織として買収したERP企業である(Great PlainsはMicrosoftによる買収の直前に、別のERPプロバイダーであるSolomonを買収した)。Microsoftはその翌年、Axapta部門を擁するNavisionを買収してERP製品ラインアップを仕上げた。

 バーガム氏は2005年9月、赤字が続いていたMBSグループの責任者を同年11月に辞職すると発表した。

 2006年夏、MBSグループはMicrosoftビジネス部門の傘下に入った。同部門はMicrosoft OfficeとSharePoint Serverに加え、Microsoftの統合コミュニケーション製品を担当する。この再編の狙いは、Microsoftのビジネスアプリケーショングループと社内のほかの部門との連携を改善することであった。

 そして2006年9月には、サチャ・ナデラ氏がMBSグループのトップに指名された。同氏はこの地位に6カ月間とどまった後、新たに設立された検索/広告プラットフォームグループの責任者として異動した。

 次にMicrosoftは、当時MBSのコーポレート副社長を務めていたタミ・レラー氏を同グループの暫定責任者に任命した。レラー氏とMicrosoftのビジネス部門のジェフ・レイクス氏が協力してMBSグループの新しいリーダーを探すというのが同社のプランだった。

 しかし噂によると、レラー氏はMBSグループのトップにとどまろうと抵抗したために候補から外され、タタリノフ氏が選ばれることになったようだ。

 タタリノフ氏はMicrosoftの管理/ソリューション部門の責任者という肩書きを外し、複雑な役割を担うことになる。MBSグループは多くの種類のアプリケーションスイートを維持するだけでなく、これらのスイートを共通のMicrosoft技術の下で統合する任務も担っている。この統合に向けたロードマップでは、何度か大幅な軌道修正が行われた。異なるコードベースを融合すれば顧客やパートナーを混乱させる恐れがあることをMicrosoftが認識したからである。

 さらにMBSには、急速に発展しつつあるSaaS(サービスとしてのソフトウェア)市場に対応する任務も与えられている。MBSでは「Titan」のコードネームで呼ばれるオンデマンド型CRMスイートを開発中である。また、同社がオンデマンド型ERP技術も開発するのではないかとの憶測もある。

 Microsoftの「Go-To-Market」オンデマンド戦略はまだ完全に固まっていないため、パートナー各社の間には、自分たちの今後の役割がどう変わるのかという不安も漂っている。Microsoftは伝統的に、直販戦略ではなくパートナーチャネル戦略を通じてビジネスアプリケーションを販売してきた。

 タタリノフ氏は7月2日付で新しい職場に着任する。その1週間後の7月10〜12日には、Microsoftの主要年次パートナーカンファレンスがデンバーで開催される。同氏は着任後、ワシントン州レドモンド、デンマークのコペンハーゲン、ノースダコタ州ファーゴにあるMicrosoftの各キャンパスにおいてMBSグループのすべての業務を統括する。

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