BPM――今世紀最大の挑戦マネジメントトレンド:生き残りを賭けた改革(1/2 ページ)

BPRからBPMへ。すべてをゼロベースで見直すのではなく、プロセス思考で小手先のカイゼンを超える成果が欧米の医療業界で見られる。

» 2007年07月10日 15時46分 公開
[富永康信(ロビンソン),ITmedia]

欧米で進む医療業界のプロセス改革

 旧来のビジネスプロセス改革(BPR)は、シックスシグマなどを導入しながら進めてきた先進企業ばかりが注目され、敷居が高い取り組みというイメージが作られた。すべてをゼロベースで一挙に見直すBPRは現実的に難しく、広く普及することはなかった。しかし、近年BPM(ビジネスプロセス・マネジメント)という概念が登場するや、再びプロセス思考が見直され世界的なトレンドとなっている。今回はその理由と取り組みの状況について考察する。

 今年5月17日に、日本BPM協会が開催した「第3回BPM−J交流会」において、社団法人日本画像情報マネジメント協会のISO委員会委員長で、保険医療福祉情報システム工業会のJAHIS特別委員を務める長谷川英重氏から、欧米の医療サービス業界におけるBPM成功事例についての発表が行われた。

 長谷川氏は冒頭、「先進各国共通の課題になっている医療、その2500年の歴史を覆すほどの意識転換が欧米で起こりつつある」と語り、医療サービスがデータで管理され、プロセスを介して新たなガイドライン・データとして利用され始めている現状を示した。

 欧州では、90年代に「デジタルヨーロッパ」構想のもと、電子取引・電子記録のための法律改正や電子署名の浸透をしていった。また、03年5月には、EU各国首脳はインターネットによる電子商取引や公共サービスへの電子アクセス推進、オンライン医療サービスの提供に向け、電子記録を基にした行動計画のイニシアティブに合意している。

 さらに、EUやカナダ、オーストラリアでは、医療情報共用化(EHR Electronic Health Record:患者中心と統合医療を実現するために、ネットワーク化で一元化された医療情報を共用する仕組み)を、ISO15486記録管理などの国際標準ですべて相互運用しようと、大胆な質的変換を図ろうとしている最中だ。この安全と質の向上を目指す結果として医療費の削減までも目指している。出遅れた米国も急速な勢いで追随する動きだ。

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