名古屋の専門学校で基本情報技術者試験の問題が流出

6月に行われた基本情報技術者試験で、名古屋の専門学校教員が事前に受験者へ試験問題を漏えいした。

» 2007年07月13日 16時36分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 情報処理推進機構(IPA)は7月13日、モード学園系列のコンピュータ専門学校「HAL名古屋校」で6月24日に実施された基本情報技術者試験の修了試験において、試験問題が事前に流出したと発表した。

試験問題の漏えいについて説明を行うIPA情報処理技術者試験センターの澁谷隆センター長

 IPAでは、基本情報技術者および初級システムアドミニストレータの認定講座を開設する民間専門学校の受講修了者に対し、本試験の一部免除を行う特例制度を導入している。修了試験の問題はIPAが作成し、通常は試験日の6日前に専門学校へ郵送して学校の管理者が当日まで厳重に保管するプロセスが取られているという。

 IPAの調査によれば、今回の流出は試験前日にHAL名古屋校の教員が試験問題の管理者に対して、「試験問題に誤りが無いか確認したい」と述べて問題のコピーを受け取った。教員はその後に行った試験対策の補修授業において受験予定の学生13人に試験問題を手渡し、さらに別の学生1人にも試験問題が流出した。

 6月24日の試験では事前に試験問題を入手した14人のうち10人が合格して修了認定を受けた。流出発覚後、IPAでは7月4日から内部調査を開始し、7月10日にHAL名古屋校へ対して不正認定者10人の認定の取り消しを求めた。なお、HAL名古屋校は受験者に試験問題を漏えいした教員を7月6日付けで懲戒解雇処分したという。

 IPAは、内部調査を実施すると同時に修了試験を行った全国の専門学校に対して、試験問題の管理プロセス状況と試験担当者の名簿文書で提出するよう求め、試験問題の管理実態について把握を進めている。IPAでは引き続き調査を行い、HAL名古屋校に対する処分と特例制度自体の見直しを検討するとしている。

 情報処理技術者試験センターの澁谷隆センター長は、「特例制度は受験者のすそ野を広げる有効な施策としてこれまで実施されてきており、制度を健全なものとするためにも試験問題の管理プロセスを中心に制度全体の見直しを徹底したい」と話した。

 特例制度に基づく修了試験は7月22日にも予定され、流出が起きたばかりのHAL名古屋校でも行われる見込み。6月試験と7月試験は受験者が異なるため、IPAでは「学生には罪がないと考えている」として、同校の試験はIPAの職員が試験監督を行うなどの緊急措置を取り、予定通り行うとしている。

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