「これからのWebを考える」REMIX07が開催

9月19日、東京・千代田区の東京国際フォーラムでは、次世代Webの姿をさまざまな角度から考察・提案する「REMIX07」が開催された。

» 2007年09月20日 13時21分 公開
[柿沼雄一郎ITmedia]

 9月19日、東京・千代田区にある東京国際フォーラムで、次世代Webの姿をさまざまな角度から考察・提案する総合イベント「REMIX07」が開催された。

 本イベントは、Webデザイナーや開発者を対象に、マイクロソフトが世界規模で行っているもので、国内では昨年に引き続いて2回目の開催となる。同社のWebテクノロジーである「Silverlight」や「ASP.NET AJAX」などの解説をはじめ、ユーザーインタフェース全般やひいてはSecond Lifeなどのネットにおける仮想現実の社会的考察など、これからのWebをさまざまな角度から考察・提案するイベントになっている。

 そのREMIX07のキーノートに登壇したマイクロソフト社長 ダレン・ヒューストン氏は、現在をデジタル時代と称して、どのようなテクノロジーがその基盤を作り上げているかを解説した。

マイクロソフト 代表執行役 社長 ダレン・ヒューストン氏

 ヒューストン氏は、プロセッサの性能やストレージ容量の向上などハードウェアの革新、そしてブロードバンドの普及、さまざまな新規モバイル端末の出現、さらに高品質なグラフィックス表示が可能になったことで、コンピューティングの新たな時代が到来していると述べる。クオリティの高いコンテンツがオンラインで次々に提供され、より多くのユーザー体験が実現されている。

 また、コンテンツを利用する際のユーザーインタフェースも進化しているとヒューストン氏は指摘する。任天堂の「Wii」を例にあげたほか、音声認識やペンコンピューティングなどの新たなインタフェースもさまざまな場面で活用されている。

 だがヒューストン氏は、こうした時代においても最も重要なのが、コンテンツ自体のアイデアであるという。そこに魅力がなければ、どんなに多くのコンテンツがそこにあってもユーザーは利用しないだろうというのだ。

 そこでマイクロソフトは、同社版SaaSとも呼ばれる「ソフトウェア+サービス」をキーワードに、より優れたコンテンツをユーザーに提供していくとヒューストン氏。それとともに、コンテンツの製作を行うデザイナーや開発者に対しては、時代に適したより新しいツールを提供することも責務だと考えているという。しかも、デザイナーと開発者が同じ「言語」で会話をすることのできるものでなければならないとし、その提案が「XAML」とそれを活用するアプリケーション「Expression」シリーズだ。

 さらに、Webというプラットフォームを最大限に活用するための新たな技術も提供する。「Silverlight」は、OSやブラウザなどの違いを超えてコンテンツをユーザーへ提供するための仕組みだ。

 Microsoft CorporationでUXプラットフォーム&ツールを担当するキース・スミス氏は、ASP.NET AJAXやWPFとともに、Silverlightについてのプレゼンテーションを行った。

Microsoft Corporation ディレクターオブプロダクトマネジメント UXプラットフォーム&ツール担当 キース・スミス氏

 Silverlightは、高品質な動画をWeb上でインタラクティブに活用できるテクノロジー。特徴は、精細な動画を含んだコンテンツを手軽に開発でき、低コストで配信することができるというもの。OSやブラウザによる違いをそれ自身が吸収し、ユーザーはWindowsとMacのどちらの環境下でも、Silverlightによるコンテンツを再生することができる。

 「Silverlightは最高のユーザー体験(UX)を提供できるテクノロジーだ。しかもほかのソリューションとの比較でもコスト優位性が高い」とスミス氏は言う。コストについては専用のストリーミングサーバや配信アプリケーションを必要としないため(Windows Server 2008と無償のアドオンで利用可能)、はるかに低コストで高品質な動画の配信が可能となる。

 9月5日にリリースされた最新のバージョンは1.0だが、開発中の1.1ではさらに機能拡張がなされ、日本語対応や著作権管理の機能が追加される。さらにはNovellとの協業により、Linux環境への対応も同時に行われるという。

 キーノート中には、Silverlightに対応したコンテンツを開発した各社によるデモンストレーションも行われた。USENによる動画配信サイト「Gyao」では、10月中旬から映画の予告編配信にSilverlightを利用するという。現状ではWindows環境のみでしか視聴できないため、「なぜMacで見られないのか」という問い合わせが数多く寄せられており、その対応策としてSilverlightに期待を込めていると同社コンテンツプラットフォーム事業部の松本武史ゼネラルマネージャは言う。

 ほかにもNRIネットワークコミュニケーションズによる「バーチャル店舗」や、GMOホスティング&セキュリティによるSilverlightを使ったホスティングサイト、Virtual Earthを組み合わせたリクルートによる海外旅行情報サイト、TBSによるプロ野球の試合内容を配信するサイトなど、さまざまな利用例の紹介が行われた。

 「Webの世界に変革を」というキーワードで締めくくられたキーノートだったが、新たな技術やアイデアの出現により、われわれが日常的に利用しているWebの可能性を見出すことのできる内容だったのではないだろうか。

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