成果主義の悪夢? 部下の運命を左右する上司の「ひと言」女性システム管理者の憂鬱(1/4 ページ)

上司が部下の業績を正しく評価(レビュー)して初めて成り立つ成果主義。だが、この評価の仕組みを理解せずにおきて破りの行動に出る上司もいるのだ。

» 2007年10月11日 07時00分 公開
[高橋美樹,ITmedia]

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 日本でも多くの企業が成果主義を導入するようになったが、この制度は、上司が部下の業績を正しく評価できるという前提があって、初めて成立するものである。一般的な企業の目標の設定の仕方を見ると、まず今期の会社全体の目標がまず掲げられる。それに沿って各部署の目標が設定され、さらに、そこに属するそれぞれの課が、その部署の目標をさらにかみ砕き、自分たちの役割を確認するというトップダウン方式が主流のようだ。

 当然、各担当が期の初めに提出する目標は、その上司が掲げた目標を前提にしたものとなり、そこにはおのずと上司の仕事に対する姿勢や価値基準が反映されることになる。

 しかし驚いたことに、この評価制度のシステムを理解せずに、おきて破りの行動に出る上司も存在するのだ。評価する側もされる側も試行錯誤を繰り返している時代に、激しく落ち込まされたエピソードをご紹介しよう。

上司の価値観に振り回される人々

 多くの企業がそうであるように、わたしが籍を置いていた会社でも、上半期、下半期には必ず上司面談が実施された。会社全体の目標に合わせて部の課題が提示されると、課ごとにそれをブレークダウンし、個人はそれに沿って自身の目標項目を設定する。そして期が終わると、その項目ごとに達成率を自己評価し、上司の評価とのすり合わせを行う。

 そこで決定した評価はボーナスの査定に影響するため、ほとんどの社員は必死のアピールを試みる。自分が課題をクリアするためにどれだけ苦労したか、自分の努力によりどれだけの効果があったのか、この一押しでボーナスの手取りが上下するとなると、自己アピールが苦手な日本人でさえ、割と頑張ってしまうところがサラリーマンの悲しいサガだ。

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 しかし、同じ仕事をしたとしても、その評価結果が評価する上司によって微妙に変化することも事実。結果を出すまでのプロセスを重視するタイプ、プロセスは評価せず結果だけを重んじるタイプ、形として残るものを評価するタイプ――など、評価を担当する上司の価値感に大きく左右されるわけだ。そこには、その上司がこれまでどういう信念を持って仕事に向き合ってきたか、仕事に対する姿勢もかいま見えてしまう。

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