NovellにOpenOfficeをフォークさせる意図なしTrend Insight(3/4 ページ)

» 2007年10月12日 02時40分 公開
[Bruce-Byfield,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

以前からあった似たような話

 開発者に焦点を当てている点を別にすれば、ミークス氏の意見は必ずしも目新しいものではない。著作権譲渡は、当初からOpenOffice.orgプロジェクトにつきまとっていた問題である。8月22日の時点でSunとの共同著作権の合意書に827名が署名していたが、プロジェクトのメーリングリストのアーカイブを調べるとほかの人々はSunの要求に応じることをためらっていることが分かる。こうした要求のせいで、Worldlabel.comがスポンサーを務めたOpenOffice.orgのテンプレートコンテストに深刻な遅延と運営上の問題が起きたのは、つい去年のことであり、その入選作品はいまだにOpenOffice.orgには含まれていないようだ。

 同様に、SunによるOpenOffice.orgの支配は絶えず論争の火種にもなってきた。多くの人々にとって、法的にはCollabNetに雇用されているコミュニティーマネジャーのルイス・スアレ・ポッツ氏がプロジェクトに責任を持つのか、それともSun以外のボランティアの調整役にすぎないのかは依然としてはっきりしていない。事務所を保有する複数のボランティアが、こうした問題への不満からプロジェクトを去っている。

 Sunによるプロジェクトの支配は、OpenOffice.orgのデフォルトファイル形式の普及を促進するOpen Document Format Alliance、OpenOffice.orgの機能強化版であるOxygenOffice、OpenOffice.orgのMac OS X向けネイティブビルドのNeoOfficeのようなプロジェクトが併存する理由の少なくとも一部にはなっている。これらすべての組織は本家のOpenOffice.orgプロジェクトとの関係を維持しているが、ときには意見が衝突することもある。

 そのよい例がOOoAuthors Projectプロジェクトである。OOoAuthorsが生まれた理由を、貢献者のジーン・ホリス・ウェバー氏は次のように説明する。「OpenOffice.orgのメイン構造の範囲内では、物事をうまく処理するのが難しいからだ。一番の問題は、ドキュメント生成用のIssue Trackerの使用に支障が出ることがあったが、文書がまったく生成できないという事実がDocumentation ProjectのWebサイトに公開されなかったことだった」。OOoAuthorsのメンバーは、正式にプロジェクトと連絡を取って解決を図るよりも、自分たちで独自にドキュメントを作成した上でプロジェクトに提供する道を選んだ。この調整は両者の間に緊張を生んだが、ウェバー氏によれば、状況は終盤になって大いに緩和されたという。それは、SunがOpenOffice.orgのドキュメント整備に以前より注意を向け始め、今では協力体制を取ることが常態化しているためだ。

 だが、ミークス氏と吉田氏のコメントに見られる新たな情報はすべてこうした状況に反した内容であり、彼らの明確な考えと彼らがSunから受けた扱いを示している。ミークス氏の指摘において特に大事な点は、OpenOfficeプロジェクトの最初の何年かはSunが所有権を持つことに意味があるだろうが、プロジェクトが発展するにつれて「1つの企業がOpenOfficeのプロセス全体を所有することの妥当性がますます失われていくように思える」ことだ。

 事実、go-oo.orgサイトでさえ、誕生後かなりの年月が経っている。このサイトが生まれたのは実に2002年のことであり、NovellやMandriva、そしてミークス氏やDebianのOpenOffice.orgメンテナ、ルネ・エンゲルハルト氏のような個人の開発者との協力により立ち上げられた。開発者向けに、ソースコードの検索ツールやOpenOffice.orgをコンパイルするためのWikiガイドなど、本家のOpenOffice.orgプロジェクトにはないサービスを提供するのが目的だった。このサイトは、本家プロジェクトに追加されていないコードに関する情報交換の場にもなった。「しかし、このサイトは世間の評判なることはなかった」とミークス氏が語るとおり、OpenOffice.orgコミュニティー関係者以外の人々はこうしたグループの存在すら知らなかった。

 最近になって変わったことといえば、ほとんど活動停止の状態が数年続いた後に、go-oo.orgサイトのデザインが一新されたことと、独自のビルド(最初はWindows用)の提供開始を予定していることだ。その狙いはもちろん、ほかの多くのグループと同じような形で OpenOffice.orgへの貢献を並行して行うことにある。

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