ユーザーをあきらめさせない検索ツールの新境地次世代検索の行き先(2/3 ページ)

» 2007年11月14日 07時00分 公開
[吉川日出行,ITmedia]

検索結果を“見える化”する試み

 検索結果をテキストとリンクの一覧ではなく、より分かりやすい形式で表示しようとする試みは、昔から挑戦されてきている。

 「kartoo」という検索エンジンでは、ページの中央のマップの中に、検索結果と関連のある情報をビジュアルに表示する。kartooを開発した米KartOO S.A.が提供する別の検索エンジン「ujiko」では、検索キーワードに関連するトピックが画面の中央に表示され、ユーザーがそのキーワードをクリックすると、検索結果を絞り込める仕組みだ。単にキーワードに関連する検索一覧を並べるのではなく、トピック別にグループ分けを行い、色を付けてサークル(円)上に視覚的に分類する。これらのページタイトルの上にマウスカーソルを移動すると、サイトのプレビューを表示することもできる。

image 検索結果をFlashの地図で表示するメタ検索エンジン「kartoo」。検索結果をグラフィカルに表現するインタフェースが特徴

 「quintura」では、検索を行うと画面下半分の右側には従来と同じような検索結果の一覧が表示されるが、左側にはキーワードのタグクラウドが表示される。新しいキーワードへマウスポインタを合わせると、さらにその先の関連キーワードを表示する。ユーザーはこのマップ状のタグクラウドを使って、関連ページの広がりを確認しながら検索結果を絞り込むことができる。

image 1つのキーワードに対して関連のあるキーワードをマップ状のインタフェースで操作しながら検索できるquintura。

 こうした検索結果をビジュアルに表示して可視化する試みは、欧米ではあまり支持されなかったようだ。ビジュアライズした検索結果がユーザーによってあまり見やすいものではなかったのがその原因という。これを踏まえたのか、日本国内では検索結果の一覧表示画面は従来の文字式のままで、ほかの部分の機能拡張を図る検索エンジンが増えてきている。

日本発、おもしろ検索エンジン

 検索結果がたくさん出てきた時に、ユーザーはどういった行動を取るのか。検索結果をつぶさに見ていく人もいるが、多くの場合は検索条件を加えて再検索をする。しかし、検索条件を加えることは意外と難しい。

 オモロ検索エンジン「SAGOOL」では、検索画面上に表示される検索結果の説明文を「なぞる」だけで検索できる「なぞるだけ検索」を試行中である。気になった部分をマウスで選択すると、検索結果一覧の部分に小窓が表示される。そこには、選択したキーワードによる検索結果と、最初の検索キーワードをなぞることで出てきた新たな関連キーワードを加えた検索結果が表示される。

絞り込み検索に趣向を凝らす各種ベンダー

 SAGOOL以外にも、検索結果に絞り込み用キーワードを実装したものが増えている。この仕組みを実現する方法はいくつかある。検索結果を表示する際に、検索結果集合に多く含まれるキーワードを自動的に抽出し、上位10〜20個程度のキーワードを次の絞り込み候補として表示する方法、単語と共起関係の強い単語を表示する方法、シソーラス(言葉を同義語や意味上の類似関係などに分類した辞書、データベース)を使って検索語句に関する類義語や同義語をシステムが自動抽出してOR条件の候補に展開表示する方法、検索エンジンユーザーの過去の検索履歴から特定語と同時に使われる検索語を抽出して、絞り込み用の関連語として提示する方法などがある。

 2007年10月3日にポータルを改良した米国のYahoo!では、「Search Assist」機能が実装された。Search Assistは検索クエリ補完機能を一歩進めたもので、検索キーワードと関連がありそうな単語やコンセプトをドロップダウンメニュー内に表示する。ユーザーは検索ボックスの下にある矢印をクリックして,表示/非表示を選択したり、ドロップダウンメニューからトピックやコンセプトに合わせて、検索範囲を狭めたり広げたりできる。検索スキルの低いユーザーにとって、なじみのないキーワードを検索する時に検索結果を絞り込む作業が効率的に働くといえる。

 連想検索エンジン「reflexa」は、検索エンジンが自動的に抽出した入力キーワードと関連の深い単語を検索結果画面の左側に表示する。左側のパネルに表示されるキーワードをクリックしていくと、数珠つなぎのように関連キーワードを検索できる。

image 言葉のつながりから未知の情報を探索するreflexa

 このような絞り込みのキーワード表示を使うと、あまり検索エンジンに慣れていないユーザーでも2、3クリックで目的のページまでアクセスできるようになる。

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