Yahoo! とGoogleがIMを強化――チャットツールの新展開

Yahoo! がYahoo! Messenger for Vistaのテスト版をリリースする一方で、GoogleはGmailにAOL Instant Messengerを統合した。

» 2007年12月07日 15時17分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 Yahoo! およびGoogleがインスタントメッセージング(IM)製品に大きな改良を加えたことで、チャットがコミュニケーションやコラボレーションの一般的な手段として輝きを失っていない現実を、業界はあらためて意識させられている。

 Yahooは12月6日、Microsoftの最新のWindowsオペレーティングシステムに対応した「Yahoo! Messenger for Vista」のプレβ版を発表した。12月4日には、GoogleがGmailからAOL Instant Messenger(AIM)」のユーザーとチャットできる機能を追加している。

 まだ最終形態には至っていないが、Yahoo! Messenger for Vistaのグラフィック機能は、Vistaに鳴り物入りで搭載されたグラフィックサブシステム「Windows Presentation Foundation」を利用したインタフェースのおかげで、大幅に強化されている。例えば、Webブラウザのように内蔵されたスキンを選択でき、ユーザー自身がIMウィンドウの色を変えることが可能になったという。

 先行するYahoo! Messengerの各バージョンより柔軟性も高く、チャットセッションをタブ化して整理したり、タブをインタフェース内からドラッグ&ドロップして、新たなウィンドウを作成したりすることもできる。

 また、任意の連絡先を「Windows Sidebar」ガジェットの中へドラッグする、連絡先表示ウィンドウのサイズを変更する、ウィンドウサイズを変更して連絡先リストを複数のコラムに配列し直すといった操作もできる。連絡先検索バーに相手の名前やIDの一部を入力すれば、目的の連絡相手をすぐに見つけられる。

 友人に対しては2Gバイトまでのファイルを送信でき、「Windows Live Messenger」のユーザーとも連絡が取れる。

 ただし、このプレビュー版には免責事項が含まれている。Yahoo! Messengerの上級製品マネジャー、ジョシュ・ジェイコブソン氏が書いたブログエントリによれば、同版は、音声チャットやチャットルーム、携帯電話へのテキストメッセージング(Short Messageing Service)など、従来のMessengerに搭載されていた機能を実装していないという。

 ジェイコブソン氏は、現在同氏のチームが、こうした多くの機能の搭載や、将来のリリースにおける64ビット版Vistaのサポートに取り組んでいるところだとしたうえで、同アプリケーションをダウンロードして検証するよう、ユーザーに促した。Yahoo! Messenger for Vistaは、Yahoo! Messenger 8.1もしくは9.0とは別のディレクトリにインストールされるので、ユーザーはこれらのバージョンをVistaベースのPCで利用し続けることができる。

 「Microsoft Watch」によるプレβ版のレビューはここから参照でき、実際のソフトウェアはYahoo!のサイトからダウンロードできる

 Yahoo!は、Yahoo! Messenger for Vistaの普及に自信を持っているようだ。Forrester Researchの予測では、2007年末までに1200万世帯がVista搭載PCを所有するが、2011年までとなると、この数字は7300万世帯へ跳ね上がるという。ほかのOSにはないグラフィックや検索ツールなどの存在が、普及を推し進める一因になると、同社は述べている。

 IMシステムは、当初はコンシューマーをターゲットにした製品だったものの、今日では企業が採用する主力ツールに成長した。社外で働く社員は、同ツールを用いることで、上司や部下と気軽に連絡を取れるようになったのだ。

 IMツールは、ユニファイドコミュニケーション(UC)の枠組みの重要な軸になると考えられており、Microsoft、IBM、Cisco Systems、Googleなどのコラボレーションソフトウェアメーカーは、今もその改良に努めている。

 そうした目的の下、GoogleはAOLのIMアプリケーションを、同社の中核的なWebメールアプリケーションのGmailに組み込んだ。

 Gmailの中からAIMユーザーとチャットをするには、Gmailチャットの「set status here(ステータスの設定)」の横にある下向きの三角形をクリックし、ドロップダウンメニューから「Sign into AIM」を選ぶ。AIMのログイン情報を入力し、Gmailのコンタクトリストに含まれている任意のAIM連絡先にアクセスすればよい。

 GoogleがGmailに「Talk」アプリケーションを統合し、リアルタイムのチャットを可能にしたのは、およそ2年前のことだ。GoogleのTalkは、AOLのAIMほどの人気を確保できていないので、広く利用されているGmailサービスからAIMへアクセスできるようになったのは、非常に大きな意味のある進化と言える。

 Googleが発表した声明には、AIMの統合は、「Gmailの新たなコード構造を用いて初めて実現できた新機能の1つにすぎない」とあり、同社はUCスイートにおける同Webメールの重要性をさらに高める努力を重ねているため、Gmailには今後もユニークなユーティリティが追加され、統合される機能も充実すると記されていた。

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