ケータイ小説に見る新たなマーケティングとは――ブロガーの見解オルタナブログ通信(1/2 ページ)

サッカー日本代表に続き、野球日本代表も北京五輪へ。2007年のベストセラーはケータイ書籍が独占? ヤフーで自殺防止? そして通勤電車の遅延と、エスカレーターの歩行禁止……,、オルタナティブ・ブロガーは、社会からITの時事ネタまで、独自視点からその神髄に迫っていく。

» 2007年12月14日 11時25分 公開
[森川拓男,ITmedia]

星野ジャパンに徹底力のすごさを見る

 12月1日〜3日、台湾で行われた野球の北京五輪アジア地区最終予選を兼ねた「アジア野球選手権2007」。星野監督率いる日本代表チームは、フィリピン、韓国、台湾を下し、見事にアジア代表として、北京五輪の切符を手にした。普段は野球を見ない筆者も、これには素直に感動したし、おめでとうと言いたい。

 オルタナティブ・ブロガーも、川上暁生氏「ITコンシェルジュの Try ! & Error ?」みんな野球小僧 星野JAPANを始めとして、何人かが星野ジャパンについて触れている。

 中でも興味深かったのは、林雅之氏「『ビジネス2.0』の視点」星野Jのような感動をソーシャルテレビで共有できるといい!!。この投稿内で林氏はテレビの視聴率について触れ、このインタラクティブに情報共有ができる時代における“テレビ視聴率”への違和感を提示している。

 確かに、今回の星野ジャパンの試合は数字的にも好成績を収めた。視聴率の凋落傾向が言われて久しい日本の野球界にとって、いわば救世主のような存在だ。しかし、これはあくまでも「日本代表」の話であって、「プロ野球」ではない。そして、ここで出てくる視聴率はサンプルから得られた数字でしかない点も押さえておきたい。

 林氏が紹介する「ソーシャルテレビ」など、よりネット共有が進む環境が整備された時、どうなっていくのか? 遠い未来ではないはずだ。現在の視聴率に代わる指標が必要になってくるのかもしれない。注視する必要があろう。

 また、吉川日出行氏「ナレッジ!?情報共有・・・永遠の課題への挑戦」星野ジャパンにみた徹底力の凄さでは、徹底したコミュニケーションを取ることで意思統一をし、結果として北京行きを決めたことから、勝てる組織の姿を見いだした。

 言うまでもないが、野球は個人プレーではなく組織プレーである。そして、そこからビジネス組織へ応用できるヒントも隠されている。吉川氏は、このことを星野ジャパンから解き明かしてくれたのだ。

投稿総数に揺り戻しか?

 150組近くのオルタナティブ・ブロガーが、ITにまつわる話題などを、独自の視点から日々発信しているビジネス・ブログメディアが「オルタナティブ・ブログ」だ。この記事「オルタナブログ通信」は、「オルタナティブ・ブログ」に投稿されるエントリーの中から幾つかをピックアップし、読者へナビゲーションする目的で連載しているものである。

 今回は、11月29日〜12月5日に投稿された200近いエントリーの中から、次のキーワードに着目して紹介したい。そのキーワードとは、冒頭で触れた「星野ジャパン」のほか、「ケータイ小説」「自殺防止」「通勤電車」「エスカレーター歩行禁止」など。これらのキーワードを軸として、オルタナティブ・ブログのエントリーから筆者の視点でピックアップさせていただいた。読者が「オルタナティブ・ブログ」を読む際の参考にしてほしい。

11月29日〜12月5日を最新としたオルタナティブ・ブログのステータス

 さて今回は、11月29日〜12月5日を「11月5週」として、過去8週間分のデータグラフを作成した。オルタナティブ・ブログの「見える化(可視化)」である。

 前回、投稿エントリー数が激変したが、今回は持ち直したのが見て取れる。これはひとえに、今回は数多く投稿したブロガーが複数人だったことを示している。その証拠に、投稿されたブログ数自体は微増、1つのみの投稿は変化無しだったのに対して、4つ以上投稿したブログ数は5つも増加している。これらのブログが、全体の投稿エントリー数の底上げになっている。

 11月26日〜12月2日の週間アクセスランキングから幾つか紹介しよう。

 前回に引き続き、「ひこにゃん」ネタがランクイン。サンデージャポンのひこにゃん報道について(栗原潔のテクノロジー時評Ver2)が1位に、そして著作権と著作隣接権は違うよ。(全然ではないけど)違うよ。(栗原潔のテクノロジー時評Ver2)が2位にランクインした。ひこにゃんを起因にして、著作権関係の興味も広がっているのかもしれない。また、本連載で過去に取り上げたことがある「MYUTA事件」の続報であるMYUTA判決は一審で確定していた(栗原潔のテクノロジー時評Ver2)が8位にランクインしていたのも注目だ。

 また、「初音ミク」関係も相変わらず上位に入っている。3位に「初音ミク」は、どこまで行くのか?(安藤怜のロンドン灯)、4位に【オフトピ】初音ミクはすっぴんの方が良い気がする(栗原潔のテクノロジー時評Ver2)、5位にNHKで初音ミクと岡田記者がデビューしてしまった(CloseBox and OpenPod)、そして7位に入ったSF作家の野尻抱介先生が、こんなものを・・・・・・(安藤怜のロンドン灯)も「初音ミク」関連のエントリーだ。次回どうなっていくのか、注目したい。

 それでは、11月29日〜12月5日のオルタナティブ・ブログで取り上げられた話題から、幾つか見ていきたい。

ケータイ小説がベストセラーを独占!?

 12月4日、2007年の書籍の年間ベストセラーが発表され、ある種の衝撃が走った。主に女子中高生に愛読されている、いわゆる「ケータイ小説」を出版したものがベスト3を独占、ベスト10内では5冊もランクインしたというのだ。1位は、映画化もされた美嘉・著の「恋空」、2位はメイ・著「赤い糸」、3位は美嘉・著「君空」。この、書籍が売れないと言われている時代に、「恋空」は上下巻で累計200万部、「赤い糸」も上下巻で100万部のヒットだという。

 ただし、これらケータイ小説にはさまざまな見方がある。小林啓倫氏「シロクマ日報」ケータイ小説の「身近」度で触れられたように、まずは否定派の意見がある。小説の体をなしていないといったことだ。しかし、その一方で、中高生の世代に共感を得ているのは確かだ。それではなぜ中高生の支持を得ているのか。小林氏は、「若者が望んでいたコンテンツを手に取りやすく購入しやすい形で販売した」ことにも、その一因があると指摘。そして、ほかのジャンルでもアプローチ方法を研究する必要があるのではと結論づけている。

 また、山口陽平氏「一般システムエンジニアの刻苦勉励」ケータイ小説に「不快な違和感」では、言葉の乱れから来る不安感について取り上げており、なかなか面白い。

 言葉は生き物なので、これもまた一つの時代の流れかもしれない。しかし、筆者が何となくケータイ小説の形態に馴染めないと感じるのは、まだ古い感覚を持っているせい? なのだろうか。

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