2007年は京都議定書の定める削減目標に各企業が取り組み、グリーンITという言葉が注目を集めた。環境への取り組みが利益にならないとされることが多い中、グリーンITは企業に利益をもたらすコンセプトとして、今後さらに普及するという。
2007年11月から12月にかけて、日立製作所、NEC、富士通といった国内の大手ITベンダーが二酸化炭素削減プロジェクトを発表した。ソニーや日本IBMも取り組みを公開した。調査会社のガートナーやIDC Japanは、2008年の注目技術にグリーンITを挙げた。
グリーンITは2007年のトレンドの1つだった。環境問題への国際的な関心が高まったことが影響しているが、それだけではない。環境活動に取り組むことで企業は利益を生み出す可能性を持つことになるという。IDC Japanの鈴木康介ストレージシステムズリサーチマネジャーにブームを振り返り、今後の展望を話してもらった。
グリーンITは主に欧米で進んでいる。電力が足りていないという事情から、既にユーザー企業が省エネ製品の導入を進めているからだ。国内ではどうか。鈴木氏によると「一部のアーリーアダプターが他社の動きに遅れないために環境活動に取り組んでいる」状態という。ユーザー企業はグリーンITのコスト効果が見えていないと続けた。
国内企業では、消費電力の管理は総務が担当するところが多く、運用管理者は消費電力の実態を把握しきれていない。欧米の運用管理者は、機器の調達費用や運用管理におけるコスト削減で評価を受けるが、国内企業での評価対象は人件費の削減などだ。「国内ではグリーンITというインセンティブは働きにくい」(鈴木氏)。
グリーンITへの取り組みの意義はコスト削減以外にもある。「グリーンITへの取り組みを理由に、企業は改めてインフラの全体最適を図れる」ことだ。グリーンITはサーバリソースなどを再整備するドライバとして利用できるという。
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