SaaS、グリーンIT、仮想化……。2008年の国内IT市場をけん引するトレンドは何なのか。IDC Japanが発表した。
IDC Japanは12月13日、2008年の国内IT市場で鍵となる技術や市場トレンド、ベンダーの動きなどを発表した。佐伯純一リサーチバイスプレジデントは、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)、グリーンIT、仮想化などのトピックが本格的に動き出し、市場をリードすると力を込めた。
日本郵政公社がセールスフォース・ドットコムを採用しSaaSの導入に踏み切ったことや、KDDIとマイクロソフトがSaaSプラットフォームの提供に乗り出したことなど、2007年SaaSは人々の関心を集めた。
SMB(中堅・中小企業)市場では、既にパッケージソフトを導入していた企業だけでなく、今まで導入したことのない企業もSaaSを導入し始めているという。SaaSの導入事例の増加がIT投資を促すことになりそうだ。「SaaSは国内IT市場にインパクトを与える」(佐伯氏)。
欧米の政府や企業では電力の排出基準などをクリアした環境製品のみを導入する動きが出ている。既に国内でも主要ベンダーが省電力製品を発表していることから、08年は各企業がグリーンITに本格的に取り組むとIDCは予測する。今後はこれらの製品を取り入れたデータセンターが出てくる可能性があるという。
サーバの発熱量を抑えるといった製品設計は日本が欧米に比べて進んでいる。冷却効率などを考えたデータセンター内のサーバ設置は欧米の一部で進んでいると佐伯氏は指摘する。「今後は製品を個別に導入するという局所的な取り組みから全体的な取り組みに移行する」(同氏)。
グリーンITはどのような効果を生み出すのか。省電力サーバなど消費電力を下げる製品はユーザーに利点をもたらし、環境製品を出すことでユーザーに製品の特徴をアピールしやすくなると佐伯氏は述べた。
「CSR(企業の社会的責任)への取り組みを強調できる面も大きい」(佐伯氏)
「よりコンパクトに管理したい」「管理ツールがない」――企業内外で分散するサーバは管理が難しく仮想化ソフトウェアの導入の障壁となっていた。ユーザーの要求に応えるツールや事例がそろってきたことで、08年は特にサーバを中心に仮想化が本格化すると予測する。
仮想化には、サーバの集約化やアプリケーションを再配分する仕組みを作るなど、さまざまな段階がある。企業は、ユーザーがシステム構築で抱える課題をとらえ、どのソリューションが適切かを提案するべきという。仮想化技術の完成度を高め、導入実績を重ねる必要がある。
国内IT市場展望の予測トップ10は以下の通り。
番号 | 国内IT市場展望予測トップ10 |
---|---|
1 | オンデマンド型SaaSの利用がSMBを中心に急拡大する |
2 | サーバを中心に仮想化への取り組みが本格化する |
3 | グリーンITへの取り組みが企業のステータスを向上させる |
4 | コンプライアンス対応へがIT投資の伸びを下支えする |
5 | データセンターサービスの利用が拡大し、コロケーションからホスティングへ需要がシフトする |
6 | シンクライアントの導入が本格化する |
7 | SMB市場がIT市場拡大の鍵を握る |
8 | 高速無線通信に向けたインフラ用機器と、その端末機器のそれぞれで主導権争いが始まる |
9 | 企業VoIP市場の裾野が拡大する |
10 | サービスの共同利用化が進み、アウトソーシングが拡大する |
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