モバイルユーザーのそばにいる存在であり続けるための挑戦日本のインターネット企業 変革の旗手たち(1/3 ページ)

モバイルインターネットのコンテンツサービスで代表的な企業となったサイバードホールディングス。同社は、コンテンツビジネスに加えて、次なるビジネスモデルを確立すべく、新たなスタートを切ろうとしている。その原動力となっているのは、「ユーザーの立場で考える」という創業以来の強い思いである。

» 2008年01月28日 00時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 サイバードホールティングスは2007年10月、新規事業への集中を理由に経営陣が自社を買収するMBOを発表した。モバイルコンテンツの代表的な存在である同社は、次なるビジネスモデルを確立すべく、本格的なスタートを切ろうとしている。同社がこれまで成長続けてきた原動力となっているのは、創業以来持ち続けている「ユーザーの立場で考える」というマインドだ。それでは、次なるビジョンをどのように描いているのか。堀主知ロバート代表取締役社長兼グループCEOに聞いた。

堀主知ロバート代表取締役社長兼グループCEO

ITmedia モバイルビジネスを手掛けられた経緯からお話しください。

 そもそも、モバイルに着目するきっかけになったのはコンピュータとの出会いでした。特に、私がコンピュータに対して望んだのは、「知らない情報を教えてくれる機械」という存在です。ですから、インターネットが登場し、キーワードを入力するだけで知りたい情報を引き出せた瞬間は、とても嬉しかったですね。世の中に埋もれている情報を検索だけで引き出せるインターネットの普及は、まるで産業革命のように感じられました。

 創業当初はPCに着目していたのですが、PCよりもパーソナルな存在の携帯電話へ目を向けたのは、携帯電話が一人一台となる時代がいずれ到来するだろうし、PCで既に始まっていたコンテンツや決済のようなサービスが携帯電話の世界にも入ってくるだろうと考えたからです。同じ時期に同じようなことを考えていた通信事業者の人たちもいて、意見交換をしながら、私たちのテリトリーを確立すべく携帯電話へ軸足を移しました。

ITmedia モバイルビジネスにオープン化の波が到来しています。

 もう5年ほど前からいわれていますが、目に見えない動きでもあり、多くのモバイル事業者が手探りを続けていると思います。モバイル業界では長らく業界内で激しい競争を続けてきましたが、オープン化によって、ユーザーに課金するビジネスモデルだけに頼らないPCインターネットの企業がモバイル業界へ本格的に参入を始めました。彼らは、モバイル系企業のように同業他社と激しく戦うというよりも、お互いのビジネスの良いところを認め合いながら上手にやっている印象がありますね。

ITmedia モバイルビジネスに対する業界の考え方が変わってきたということでしょうか。

 従来は、「インターネット=携帯電話」という意識が強かったのだと思いますが、オープン化が進みつつある今は、携帯電話以外にもいろいろなものがインターネットにつながっているという意識を持ちつつあるように感じます。今後は、携帯電話を中心にしつつ、インターネットの広い世界を強く意識することが、ますます加速していくでしょう。

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