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» 2008年01月09日 08時00分 UPDATE

Sambaプロジェクトがすべてのオープンソース開発者にWindowsプロトコル文書を提供へ (1/3)

Sambaプロジェクトのおかげでフリーソフトウェア開発者は、希望すればWindowsのネットワークプロトコルの文書を入手可能になった。契約には、フリーソフトウェア開発者にとって興味深い点が幾つか存在する。これまでの経緯と契約内容についてまとめた。

[Bruce-Byfield,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

 Sambaプロジェクトのおかげで今やフリーソフトウェア開発者は、希望すればWindowsのネットワークプロトコルについての文書を入手できるようになった。SFLC(Software Freedom Law Center)とFSFE(Free Software Foundation Europe)からの協力を得てSambaプロジェクトは、プロトコルの文書を取得できるようにするための契約の成立にこぎつけ、さらに、ほかのフリーソフトウェアプロジェクトにも文書を利用可能にするためのPFIF(Protocol Freedom Information Foundation)を新たに設立した。

 今回の発表は、Sun MicrosystemsがWindowsと相互運用可能なソフトウェアを開発するためにMicrosoft Active Directoryの文書をMicrosoftに要求したことに端を発する、ほぼ10年に渡る訴訟に終わりを告げるものだ。Microsoftに要求を拒否されたSunは、欧州委員会に対して申し立てを行ない、欧州委員会はこの問題に対して5年間に渡る捜査を開始した。捜査はにわかに相互運用性の問題の枠を越え、ソフトウェアのバンドル問題にも拡大した。

 フリーソフトウェア界の各グループは、当初からこの捜査を興味深く見守ってきた。Sambaプロジェクトの共同設立者の一人であるアンドリュー・トリジェル氏は、この訴訟についてのまとめ文書の中で次のように述べている。「フリーソフトウェアコミュニティーにとって最大の関心事は、独占禁止法を扱う司法の仕組みが、フリーソフトウェアのライセンスという事情によってより複雑化した事案を適切に取り扱うことができるのかどうかということだった」。

 とはいえ直接的にSambaプロジェクトのメンバーがこの捜査にかかわるようになったのは2000年を過ぎてからだった。Sambaプロジェクトのもう一人の共同設立者であるジェレミー・アリソン氏と、プレスリリースによると「欧州Sambaチームリーダー」であるフォルカー・レンデッケ氏と、FSFEのカルロ・ピアナ弁護士の3人は、オペレーティングシステムなどのソフトウェア間での相互運用性を実現するためにはプロトコルの文書が必要であるという事実についての証言を行ない、捜査に協力した。

 特に2003年11月の口頭尋問では、文書なしで相互運用性を実現することの困難さについてアリソン氏が証言して、GNU/LinuxによるWindowsネットワークの管理を実現するSambaプロジェクトの存在が競争の存在を証明しているとするMicrosoftの主張が真実でないことを証明する一翼を担った。

 2004年3月欧州委員会は、Microsoftは独占状態の濫用を行なっており、同社のネットワークプロトコルについての文書を競合相手に提供することを命ずるとする判決を言い渡した。それに対してMicrosoftは即刻控訴した。

 控訴手続きが始まって間もなく、Sunや、アリソン氏の当時の雇用主であったNovellを含む訴訟に関係する企業が、Microsoftと示談による和解を成立させた。その結果としてアリソン氏が訴訟への関与を控えるように要求されたため、トリジェル氏を含むSambaプロジェクトのほかのメンバーや、カーネル開発者のアラン・コックス氏を含むほかの支持者たちだけで控訴審に対する準備をしなければならなくなった。控訴審は2006年4月になるまで行なわれず、また控訴が棄却されたという事実は2007年9月17日になるまでアナウンスされなかった。

 一方、欧州委員会はイギリスのコンピュータ科学者ネイル・バレット氏をこの訴訟の評議員として任命し、Microsoftが公開する文書を評価する役割を課した。Microsoftは判決の要求に従った内容の文書を公開していると何度か主張して、何度も却くだされた後にようやく認められた。

 控訴審判決の公表後数週間が経ってから、Microsoftは文書の閲覧条件を発表した。すなわち文書の希望者は、特許保護なしで1万ユーロ(1万4400ドル)を支払うか、その料金に上乗せして特許保護付きの開発者数に比例した料金を支払うかのどちらかを選ぶことができるというものだった。

 「当初のわれわれの反応は、落胆以外の何ものでもなかった」とトリジェル氏は書いている。その理由は明らかだ。特許侵害で告訴される危険にわざわざ身をさらすようなことをしたいと考えるフリーソフトウェアプロジェクトもないだろうし、だからといってロイヤリティ支払いのために開発者数を管理することもフリーソフトウェアプロジェクトには不可能であるためだ。しかしバレット氏による計らいによって、SambaのメンバーはMicrosoftのCraig Shank氏に接触でき、この数週間において両者は、SambaプロジェクトがMicrosoftに1万ユーロを支払えば契約成立という、完璧ではないながらもより受け入れ可能な契約にこぎつけることに成功した。アリソン氏によるとこの費用はSambaプロジェクトの旅費/経費予算から支払われる予定とのことだ。

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