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» 2008年01月09日 16時42分 UPDATE

リーナス・トーバルズ氏、LinuxのGPLv3移行に今なお反対

Linux開発者であるリーナス・トーバルズ氏は、GPLv3への移行に反対を唱え続けている。

[eWEEK]
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 Linuxオペレーティングシステムの生みの親であるリーナス・トーバルズ氏には、LinuxカーネルをGNU General Public License第3版(GPLv3)に準拠させるつもりは当分ないようだ。

 GPLv3の策定途中から同版を声高に批判してきたトーバルズ氏は1月8日、「Open Voices」と題されたポッドキャストシリーズの初回で、Linux Foundationのエグゼクティブディレクターを務めるジム・ゼムリン氏と対談し、GPLv2の方を支持していると語った。同ポッドキャストシリーズには、オープンソースおよびLinux分野で業界をリードする人々が出演することになっている。

 さらに同氏は、Linuxについて、Free Software Foundationが掲げる自由への宗教的な信念と、オープンソースおよびLinuxが常に保ち続けてきた技術的な優位との間に明瞭な一線を引いたプロジェクトだと話した。

 「GPLのバージョン3はFree Software Foundationの目標に沿うものだが、わたしがライセンスとはこうあるべきと考えている形に最も近いのは、バージョン2である。したがって、現行のLinuxカーネルには、バージョン2を適用している」(トーバルズ氏)

 GPLv3は、多種多様なLinuxやその他のオープンソースコードを統括するライセンスが、もはや1つだけではないことを前提としており、開発者が任意のコードを取捨選択し、可能なかぎり自由に共有できるような工夫が凝らされている。

 「これはつまり、純粋にライセンス上の問題から、ある日突然コードの共有が不可能になる可能性を示唆している。とはいえ、こうした事態が起こるのは初めてではない。ほかのライセンスに関しても、同じ状況が生まれたことがある。重要かつ有用な外部コードが多数存在し、それらがGPLv3に準拠している場合は、GPLv3を採用する意義も大いにあるだろう。ライセンスの互換性を確保するために、カーネル開発者がバージョン3のライセンスを再取得するケースも考えられるが、これは同バージョンがすぐれているからではなく、そうすることでコードをオープン化できるからだ」(トーバルズ氏)

 トーバルズ氏は以前、Linuxの著作権所有者にバージョン3への移行を薦める根拠が、少なくとも1つはあると述べていた。すなわち、もしもSun Microsystemsが「OpenSolaris」をGPL v3の下でリリースするなら、そうすることを検討するというのである。

 「GPLv3はGPLv2ほど優れたライセンスではないと思っているが、割り切って考えれば、2種類の異なるラインセンスに準拠した2つのカーネルを使用し、問題が起こるのを避けるという点では、GPL v3を採用する意義はある。もっとも、現時点ではバージョン3に移行する妥当な理由はまったく見当たらない」と、トーバルズ氏は2007年6月にLinuxカーネルメーリングリストに書いている。

 Linux Foundationのゼムリン氏が、ライセンス変更に関してどのような決定を下すにしろ、広範なカーネル開発コミュニティを巻き込む義務があるのかとトーバルズ氏に尋ねたところ、単純な義務というより、法的な義務と認識していると同氏は答えた。

 「もはや、わたし個人の意思でライセンスを変えることはできない。過去15年間にわたり、GPLv2という当初の選択肢を受け入れた人々からコードを提供してもらった経緯から、道義上のみならず法律上も彼らの選択を尊重する責任がわたしにはあると考えている」(トーバルズ氏)

 ライセンスを変更するということは、すべての著作権所有者がそれに同意したことを意味する一方で、反対した者はコードの修正を余儀なくされることをも意味する。「したがって、実際にはそうしたことが起こる可能性はない」と、トーバルズ氏は話した。

 GPL v3が策定段階にあるときから明確に反意を示したのは、カーネル開発コミュニティーのリーダーとして、トーバルズ氏のスタンスとそうしたスタンスを取る理由を人々に納得してもらう必要があったからだと、同氏は説明している。

 Linuxカーネルに安定したデバイスドライバアプリケーションバイナリインタフェース(ABI)がないのはなぜかというゼムリン氏の問いに、トーバルズ氏は次のように回答した。「われわれコミュニティーには、そうしたものはまったくもって必要ない。バイナリドライバを独自に利用でき、ソースを公開しなくてもよいことから、多くの人は安定したABIを求める。彼らは、そのソースを安定したカーネルや標準カーネルに組み入れようなどとは思わない」(トーバルズ氏)

 これでは、カーネル開発者および管理者は存在するかもしれないバグを一切修正できず、必然的にベンダーもしくはハードウェアと力を合わせられないことになる。「こうした中に政治的な要素を見て取る者もいるし、事実、部分的にはその通りかもしれない。しかし、単に管理が不可能だという、ごく現実的な理由が大勢を占めている」(トーバルズ氏)

 またトーバルズ氏は、モバイル市場の製造企業が「突発的な」ハードウェア製品を乱発したせいで、市場は完全に断片化してしまったと、強い口調で批判した。

 「モバイル製造企業は、使い捨てにするコードを書き、次の世代がやって来るとまた一からやり直すという流れに慣れきっている。このため、ハードウェアには複数の世代が何年も存在し、企業は以前の世代のサポートも続けざるを得ない。にもかかわらず、次世代へ移行することが決まると、彼らは作業を再び最初から始めるのだ」(トーバルズ氏)

 こうした考え方から脱却できない人には、プロセスに従って開発を行い、標準カーネルや標準ユーティリティとの統合を図るという概念が理解できないと、トーバルズ氏は指摘した。

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