IT業界で働く新入社員に思いのたけを語ってもらう座談会も今回が2回目。グローバルで優秀な人材を輩出するIBMの社員教育や組織のあり方を伺うことができた。
前回読者から大きな反響を呼んだこの企画。今回は日本IBMの新入社員の方々に協力してもらった。参加者は、栗林美由紀さん、堀祥子さん、松本健一郎さん、三好達也さん、涌本慶晴さん(以下、敬称略)の5名である。「上司にだめな人はいない」という新人の目を通してIBMのマネジメント力の高さが感じ取れた。
――自己紹介をお願いします
堀 ソフトウェアパートナー事業部 ソフトウェア・アライアンス営業部に所属しています。大学時代は、マーケティングや戦略的政策に関するゼミで勉強をしていました。
涌本 金融サービス事業部に所属しています。金融機関の中でも損害保険を担当していまして、サービス案件の営業をしています。学生時代は途上国の研究をしていて、よくアジア各国へ足を運びフィールドワークをしていました。
三好 ソフトウェア開発研究所に所属しています。デザイン、コーディングからテストまで幅広い業務に携わっています。学生時代は、コンピュータサイエンスを専攻していました。石油や天然ガスに代わる、新しいエネルギー資源に関する物理的なシミュレーションを行っていました。
栗林 システムエンジニアとしてグローバル・ビジネス・サービス事業部に所属しています。お客様は銀行で、Webアプリケーション開発に携わっています。大学は生物学科で、人の細胞に紫外線を当てたりするような研究をしていました。
松本 ITSソリューション・センターでエンジニアをしています。簡単に言うと、ネットワークの設計と構築を行う部署です。学生時代は、アドホックネットワーク、つまりルータを介さず端末同士の無線通信を最適化することの研究をしていました。
――もう研修が終わって、実際に配属先で働いているのですか?
涌本 私は研修をやりながら、営業現場にも出ています。
松本 入社して半年間は全員研修があり、10月から現場に配属されました。
涌本 SEが4月から10月までで、営業が4月から翌年2月まで研修があります。
三好 SEでも全体研修が終わった後、さらに所属部署で研修をすることもあります。長い人だと数カ月に及びます。ただし新人研修以外にも、社内の研修は充実しています。例えば、新しい製品が出た時などですね。私が所属しているソフトウェア開発部門だと、海外で日本の社員が製品セミナーを聴いて、それを日本で普及させていく形になります。
――新人の全体研修は、主にどういった内容ですか?
涌本 営業は、実在する企業をモチーフに、どういった提案ができるとか、その企業をどう分析するかなどを学びます。
三好 グループワークが多い印象があります。入社してすぐの研修では、グループで作業をする際に、いかにコミュニケーションを円滑にとって成果物を作るかなどを重視します。
堀 グループの中で、自分がどのような役割を果たせるか考えます。
松本 ITに関する研修はそれほどなく、ビジネスマナーや社会人として毎日どう仕事をするかというものが多かったです。
――それは座学ですか?
一同 座学はほとんどないです。
涌本 座学でできるようなことは事前に予習しておきます。例えば、IBMには企業を分析しスピーディーに提案するための営業ツールがありますが、まずはそれを各自が研究してきて、新人同士で議論した後、成果物を出すという形になります。
三好 知識があるのは大前提なので、独習しておいてくださいというように感じました。
涌本 営業だと、財務分析書なども事前に予習する必要があります。
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