リッチアプリが経営力を高める――アドビ社長が戦略を説明

開発コードネーム「Apollo」という名称で発表されてから1年以上経ち、ついにWebアプリケーションプラットフォーム「AIR」の正式版をリリースしたアドビは、「RIA=見栄えではない」と語る。

» 2008年02月27日 16時55分 公開
[伏見学,ITmedia]

 アドビ システムズは2月27日、プレスやアナリスト向けに事業戦略説明会を開いた。ギャレット・イルグ社長は、リリースされたばかりのWebアプリケーションプラットフォーム「Adobe AIR」を導入することで「パートナー企業やエンドユーザーは自らエコシステムを作り、ビジネスを拡大できるようになる」と述べた。

ギャレット・イルグ社長 ギャレット・イルグ社長

 2007年会計年度で31億5800万ドルという過去最高の売り上げ(前年比23%増)を達成したAdobe Systemsは、2008年以降は「プラットフォームプロバイダー」としての地位の確立を目指す。イルグ氏は、実現に向けた具体的なポイントとして「RIA(リッチインターネットアプリケーション)」を挙げた。

 RIAは、AIR、Webアプリケーションを開発するためのオープンソースフレームワーク「FLEX」、アニメーションオーサリングツール「FLASH」、ビジネスプロセスの合理化および自動化を支援する統合製品「LiveCycle」などが該当する。イルグ氏は「RIAは単に見栄えを良くするだけのものではない。これらを使うことで、開発者はさまざまなアプリケーションを作ることができ、ITマネジャーはコストを管理し、ROI(費用対効果)を高めることが可能になる」と強調した。

 早々にRIA技術を導入し、既に運用を始めているのがシャープだ。SAPのバックエンドシステムとAIRを連携させて、同社の65インチ大型液晶ディスプレイで表示させるシステム「エグゼクティブ・コックピット」を構築した。同システムでは、在庫状況や売り上げ実績、日報など全社の経営データを直感的に引き出せる。Web上のAPIを組み合わせることで、世界中の拠点情報(天気や時刻など)をリアルタイムに表示できる。

 システム開発を担当したSiTE4Dの隈元章次代表取締役は、「重要なのは、シャープの経営陣が既にこのシステムを使って日々の経営データを分析していることだ。(そういう意味で)ほぼ完成しつつあるが、今後はビデオ会議機能などを追加していきたい」と意気込んだ。

地域別の売り上げ実績APIを組み合わせることで、時刻など拠点ごとの情報をリアルタイムで引き出せる SAPの基幹システムとAIRを組み合わせたアプリケーション「エグゼクティブ・コックピット」

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