次世代DVD戦争の終結が生んだ、ユーザーの置き去り問題?オルタナブログ通信(1/2 ページ)

日本では、自衛隊のイージス艦が漁船を沈没させた。米国では、27年前の事件で日本で無罪になった三浦和義容疑者が逮捕された。そして東芝は、HD DVDからの撤退を決めた。倒産にまで追い込まれてしまう出版不況に、新聞小説とケータイ小説の類似点を見出す――オルタナブロガーが、ITにまつわる時事ネタなどを独自視点で解き明かしていく。

» 2008年03月10日 14時13分 公開
[森川拓男,ITmedia]

日本で無罪確定なのに米国で逮捕

 第一報を聞いた時、「え?」と耳を疑わずにはいられなかった。2月23日、米国ロサンゼルス市警が、1981年11月にロスで発生した銃撃事件の殺人と共謀の容疑で、三浦和義容疑者をサイパン島の空港で逮捕した。事件から実に27年も経過しての逮捕劇。日本ではすでに2003年、最高裁で無罪が確定しており、仮に新しい証拠などが出てきても「一事不再理の原則」から、この罪で裁かれることはない。

 オルタナブロガーでは、加山恵美氏「C'est la vie」有名な昔の事件の意外な展開が、この件について触れている。筆者は見たことがないが、「コールドケース(Cold Case)」という海外ドラマが流行っており、未解決事件を再捜査することがテーマだという。筆者の場合は、日本の「おみやさん」「時効警察」などを思い出したが、国内では時効があるために比較的古い事件が多数出てくることはない。それに対し、米国では時効がないため、古い事件であっても最新技術で検証し直すことにより解決する場合があるというわけだ。

 そして今回の三浦容疑者逮捕が正に、「コールドケース」である。ロス市警というと思わず刑事コロンボを思い浮かべてしまう筆者だが、ロス市警の執念の捜査が事件を解決に導けるのだろうか。多くが注視している。

 栗原潔氏「栗原潔のテクノロジー時評Ver2」の投稿三浦和義逮捕と属地主義/属人主義についてでは、今回の逮捕劇を日本と米国での法解釈の違いから生まれたものだと解釈している。つまり、日本は属人主義、米国は属地主義だというのだ。確かに、今回の逮捕は、そう思えば納得できる。そしてこれを、知財法ではどうなのかという展開をしているが、これまた興味深い。

イージス艦

 事件から2週間以上が経った。日本を守るべきイージス艦が、日本の漁船を真っ二つに沈没させてしまった事件だ。そして、親子は行方不明のまま見つかっていない。

 川上暁生氏「ITコンシェルジュの Try ! & Error ?」イージス艦では、重要な指摘がなされている。国の組織、それも自衛隊に責任体制があるのかどうか? という問題だ。正直言って、その後の動向を見る限り、今回の防衛省や海上自衛隊の対応は信用ならない。まずは責任の所在。そして、二度とこのような事故が起きないために仕組みの再構築だ。

 我々は、国会も含めてしっかりと注視する必要がある。

オルタナブロガーの二極化が顕著に

 150を超えるオルタナティブ・ブロガーが集うビジネス・ブログメディア「オルタナティブ・ブログ」では、ITに関する時事ネタなどが、日々、ブロガー独自の論点から発信されている。この「オルタナティブ・ブログ」への投稿から幾つかの話題をピックアップし、読者へナビゲーションする目的で連載しているのが「オルタナブログ通信」である。

 注目したキーワードは、冒頭で触れた「ロス疑惑」を始め、「イージス艦」のほか、「HD DVD」「CD・DVDメディア」「出版不況」「ケータイ小説と新聞小説」だ。今回は、これらのキーワードで2月21日から2月27日にかけて投稿されたものからピックアップさせていただいた。読者が「オルタナティブ・ブログ」を読む際の参考にしていただければ幸いである。

2月21日〜2月27日を最新としたオルタナティブ・ブログのステータス

 上のグラフは、オルタナティブ・ブログの可視化である。2月21日〜2月27日を最新(2月3週)としたデータを見ていただきたい。

 前回、前々回と比べると右肩下がりになっているようだが、それでもまだ高値安定の位置にあると言ってよいかもしれない。しかし、少ない投稿数のブロガーと、2桁前後を投稿するブロガーとの二極化は進んでいるようにうかがえる。

 元リクルート・とらばーゆ編集長の中村昭典氏「中村昭典の気ままな数値解析」が新たなオルタナブロガーとして加わっており、今後の投稿が注目されるところだ。

 ここで2月18日〜2月24日の週間アクセスランキングから、注目点をピックアップしよう。

 1位にはIT系の興味深い投稿がランクインした。「めちゃくちゃに打ち込んだプログラムが動く確率」(一般システムエンジニアの刻苦勉励)だ。プログラムというのは、きちんと設計をしてから組むものだが、果たしてメチャクチャに打ち込んでも動くものなのか? 確かに興味深い投稿かもしれない。

 また、5位にランクインした「御社と貴社 使い分け」(ITコンシェルジュの Try ! & Error ?)は、投稿が2006年なのだが根強い人気となっている投稿だ。今回のランクインは、入社、退社などが多い時節柄だったからだろうか。

 それでは、2月21日〜2月27日にかけて、オルタナブロガーたちはどんな話題に注目してきたのか。幾つかのキーワードから、筆者の視点でピックアップしてみよう。

東芝のHD DVD撤退で次世代メディアは?

 ついにこの時がやってきた。次世代DVDとして規格争いを繰り広げていた、Blu-rayとHD DVD。ついに、東芝がHD DVDからの撤退を表明したことで、次世代DVD規格争いはBlu-rayの勝利となった。

 オルタナブロガーでも、小林啓倫氏「シロクマ日報」規格戦争の終わりの始まり?HD-DVD撤退から何を学ぶか?や、中村昭典氏「中村昭典の、気ままな数値解析」【2年】 HD DVDを撤退させたのは誰?などの投稿で、この話題が取り上げられた。

 この次世代DVD戦争に関しては、かつてのVHS・β戦争を彷彿とさせるように並べられるが、今回はビデオで苦杯を嘗めたソニー陣営が勝利した形だろうか。

 ただし、これで次世代DVDとしてBlu-rayが一気に普及するかというと疑問も残る。筆者が先日、ソフト供給元の関係者から聞いた話だが、とにかくBlu-rayのソフトを作成するには相当なコストを要するというのだ。DVDの普及は、やはりソフト(コンテンツ)の普及が一役買ったことが間違いない。それに伴う制作サイドの体制が整わなければ、次世代へと一気に移行するには難しいかもしれない。今後に注目したい。

 そして、HD DVD撤退を受けて奇妙なことが起きている。ITmedia海外速報部・広瀬麻子氏「海外速報部ログ」Amazon.comではHD DVDプレーヤーが売れているという投稿にあるように、HD DVDプレーヤーが売れているというのだ。一時的な現象だろうが、いくら少ないとはいえ、これまでに発売されたHD DVDソフトもある。規格に期待したユーザーの立場を考えると、単純にはいかないかもしれない。そして、保存しておきたいというマニアの心を揺さぶったという側面もあるのだろうか。

 そもそも、いまどれだけのユーザーがそこまでの高画質を求めるだろうか。もちろん、マニアが先導して高画質を求める需要があるが、レンタルDVDでの需要からもまだ時間が掛かるかもしれない。しかし、最近ではフルHDの液晶パネルを搭載した薄型液晶テレビも安価になりつつある。。今回のようなものが機会となる可能性もあるだろう。そして、大木豊成氏「走れ!プロジェクトマネージャー!」録り溜めはiPod touchで解消ーAir効果にあるように、パソコンを使って録画しているユーザーの場合は、保存したいというコンテンツが出ない限りは現行DVDでも次世代DVDでも変わらないのだろう。

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