GoogleがAmazon Web Servicesに対抗(1/2 ページ)

アナリストやソフトウェア専門家らはGoogle App EngineとAmazon Web Servicesを比較しているが、ユーザーは両社のサポートに疑問を感じているようだ。

» 2008年04月14日 12時20分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 先週、「Google App Engine」のβ版がリリースされて大きな話題を呼んだ。Google App Engineは、ユーザーがGoogleのWebインフラ上にアプリケーションを運用することを可能にするソフトウェアである。

 このプラットフォームの中身は何であり、成熟度の高いAWS(Amazon Web Services)プラットフォームとどう違うのだろうか。アプリケーション開発者は基本的に、Googleが自社のアプリケーションで使っているのと同じツールと基本技術要素を利用できるという。

 Google App Engineを検討したThe 451 Groupのアナリスト、ウィリアム・フェローズ氏は4月10日付の調査報告書で、「Google App Engineは、ダイナミックWebサービング、GoogleのBigtableデータベースシステム(同社のGFSファイルシステム上で運用される)、自動スケーリング/ロードバランシングなどの機能を提供する」と述べている。

 プログラマーが作成したアプリケーションは、ユーザーの認証や電子メールの送信用のGoogle APIを利用することができる。また、GoogleのAppsスタック内で動作することもできる。これらのアプリケーションはWindows/Linux/Mac OS X用のPythonで記述する必要がある。

 Amazon.comはGoogle App Engineに関するコメントを差し控えているが、フェローズ氏はAWSとGoogle App Engineの主要な違いとして、AWSが緩やかに結び付いたアーキテクチャを採用している点を挙げている。すなわち、開発者はAmazon.comのElastic Compute CloudやSimple Storage Server、SimpleDBなどを一緒に使う必要がないのに対し、App Engineの場合はどちらかと言えばオールオワナッシングのアプローチを採用しているという。

 「開発者はアプリケーションスタック全体をGoogle App Engine上で動作させるという条件を受け入れなければならない。URLとコードをGoogleに手渡し、そのほかの作業はすべてGoogleに任せることになるのだ。AWSとは違い、これは仮想マシンプロバイダーではなく、ユーザーに生の仮想マシンを提供するわけではない」とフェローズ氏は指摘する。

開発者をコントロールするGoogle

 Google App Engineを通じてGoogleが獲得するのは新たな形のコントロールだ。開発企業は自前では運用できないWebアプリケーション構築の世界への参加資格を手に入れる。一方、Googleは、これらの企業が買収対象としてふさわしいか判断するための情報を手に入れるのだ。

 Google Appsと競合するZoho SaaS(Software as a Service)事業部の親会社であるAdventNetのスリダー・ベンブーCEOによると、こういった柔軟性の欠如は、アプリケーション可用性という意味ではプラスになるという。

 ベンブー氏によると、Amazon EC2はどんなLinuxバイナリイメージでもホストできるという。Linux上で利用可能な言語で書かれたあらゆる種類のプログラムに対応するため、柔軟性は非常に高いけれども「プログラムが無限ループに入って仮想CPUを100%占有すると、AWSはCPU時間を無駄に消費するだけになってしまう」と同氏は警告する。

 一方、Google App Engineは基本的にホスティング型ミドルウェアフレームワークであり、このサービス上で動作可能なプログラムの種類には制約がある。App Engineは短期動作型Webアプリケーション用であり、複数のスレッドを使用するスタンドアロン型プログラム(Webクローラーなど)を動作させることはできない。

 「開発者にとっての柔軟性の欠如が大きな利点につながっている。ミドルウェアフレームワークが制約を課すことによって、GoogleはAmazonよりもはるかに高いアプリケーション可用性を保証できるのだ」とベンブー氏は4月10日付のブログ記事で述べている。

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