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» 2008年04月25日 08時00分 UPDATE

連載:SaaSで一歩抜け出す中小企業:それなりに多いSaaS普及への課題 (1/4)

SaaSの普及にはさまざまな問題があるが、ベンダーはそれぞれ工夫をこらした動きをし始めている。

[ノークリサーチ,ITmedia]

 SaaS(サービスとしてのソフトウェア)をテーマに、中小企業専門のIT調査会社ノークリサーチに寄稿してもらう3回目。ASPとSaaSの違いをはっきりさせる SMB市場向けSaaSに死角はあるかに続き、今回はSaaS普及に向けた課題を取り上げる。

SaaS普及促進に向けた課題

 SaaSのメリット/デメリットは下表に代表される。既述の内容で明らかとなっている項目は割愛し、不足部分について説明を加える。

nork31.jpg SaaSの主なメリットとデメリット 
  • 迅速なコンプライアンス対応が可能(最新版バージョンアップ)

  J-SOX(金融商品取引法)や内部統制をはじめ、経営にかかわる法改正は頻繁に行われている。そのたびにシステムを対応させると人的コスト、経済的コストは莫大になる。SaaSであれば、少なくともアプリケーションレベルではSaaSベンダーが一括してバージョンの更新をすることになるので、ユーザー企業は負荷なく迅速にコンプライアンス対応の体制を整えられる。ただし、この課題はSaaSがそのための信頼性や安全を担保していることが前提である。

  • コアビジネスへの資源集中 

 SaaSによって大幅に情報システム部門をスリム化できるため、コアビジネスにヒト・モノ・カネの経営資源を集中できる。従来のIT部門への投資は経営戦略というより、バックオフィス系の業務処理などの非生産系用途に費やされていたことから、経営に役立つITを推進することに異存はないはずである。その意味でITにかかわる投資を抑える、あるいはよりコアビジネスに投資を集中することがSaaSの果たすべき重要な役割の1つである。

  • SaaSベンダーの少なさ

 SaaSを技術的に実現するには、相応の技術力がベンダーには要求される。とりわけ完璧なマルチテナント環境については困難が伴う。使うべきSaaS型ソフトが存在しなければ、それこそSaaSはバズワードとして片付けられてしまう。現段階では、プラットフォーム先行型の市場形成のようだが、今後1〜2年の中で、質の高いキラーアプリケーションを持つベンダー、またはデータ連携のとれた幅広い分野の豊富なアプリケーションが出そろうことによる量的な拡大が望まれる。

セキュリティ

 むしろ堅牢なIDC(Internet Data Center)にデータを預けることは、自社の情報システム部門で管理するよりも信頼性の高いセキュリティ環境(特に外部からのアタックに対して)を保障されることになる。だが、この辺の事情についてユーザー企業に正しい理解が及んでいるかは不明である。

サービスレベル

 ユーザー企業はSaaSベンダーとSLA(Service Level Agreement,サービス品質保証契約)を締結することが望ましい。しかし中にはSLAを準備していなかったり、SLA締結に別途料金を請求したりするSaaSベンダーもある。当然高いサービスレベルを要求すれば相応の費用が発生する。ほかにも、SaaSベンダー社内からの情報漏えいを防止する体制が整えられているかなど確認事項は非常に多いだろう。

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