Ruby on Railsのスケーラビリティ強化(2/2 ページ)

» 2008年05月07日 11時32分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK
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 一方サーニ氏は、「SaaSモデルを取り入れられたことをうれしく思う」と述べた。New Relicは、30〜60日以内に新製品をリリースするという。同社のプライベートベータプログラムには約50社の顧客が参加しており、各社は同製品を利用してRailsアプリケーションのスケーラビリティ向上に役立てている。同社はさらに、RPMの実働用バージョンを補完する開発者向けのソリューションを提供する予定だと、サーニ氏は付け加えた。

 サードパーティ企業も、Railsをよりスケーラブルなプラットフォームへ進化させる取り組みに力を入れている。

 Rails実装プラットフォームプロバイダーのEngine Yardは4月29日、先日リリースされた、分散化バージョン管理システムの「GitHub」サービスと、人気の高いバグ追跡アプリケーション「Lighthouse」をサポートすることを明らかにした。Engine Yardのスケーラビリティの高いプラットフォーム上でGitHubおよびLighthouseをホスティングし、Rails開発者のソースコードとチケットトラッキングの両方を安全に使用できるようにすると、同社は述べている。また同社は、オープンソースコミュニティーを支援し、オープンソースプロジェクトを育成する現行の取り組みの一環として、両プロジェクトにプライベートクラスタも寄付するという。

 Engine Yardの最高技術責任者を務めるトム・モーニニ氏は、eWEEKに対し次のように語っている。

 「Railsのスケーラビリティに根本的な問題はないと、われわれは考えている。それでもこの点を批判する人々は、効率性とスケーラビリティを混同しているのだろう。Ruby and Railsは、ランタイムにおける効率性こそ従来のプラットフォームに劣るが、これはほかの新しい開発プラットフォームすべてに言えることだ。Javaも登場した当時はひどく遅く感じられたのを思い出してほしい。Rubiniusなどの新たなRubyランタイムは、ネイティブコード生成といった、Javaでも多用されているのと同じ最適化技術を採用しており、効率性の向上を実現してくれる。現在われわれは、一月あたり数百万人ものユニークビジターが使用するRailsアプリケーションを、わずか数台の最新サーバ上で運用しており、ビジター数が数千万人になっても、将来的に数億人になっても大丈夫だという自信を持っている」(モーニニ氏)

 Railsのスケーラビリティに対する非難について、Ruby on Railsのクリエイターであるデビッド・ハインマイアー・ハンソン氏は、「言ってみれば、“揚げ足取り”のようなものだ。議論の的にできるものがなくなったので、苦し紛れに『スケーラビリティはどうなんだ?』というカードを切ったに過ぎない。いわゆるFUD(Fear, Uncertainty, Doubt:不安、不確実、不信)戦略の常套手段とも言える」と、eWEEKに話している。

 ハンソン氏によれば、Railsは2005年の時点ですでに十分なスケーラビリティを備えていたという。「それ以降も、経済的な要素がRailsの可用性を高めてきた。例えば、今日のハードウェアはかつてないほど安価になっており、2GBのRAMならスターバックスのコーヒー1杯分で購入できる。また、『Amazon Web Services(AWS)』などのオンデマンドプラットフォームの登場により、先行投資の問題も取るに足らないものとなった」(ハンソン氏)

 Railsに対する懸念はとうに払拭されていると、同氏は話す。「こうした説が繰り返される理由なら、よく分かっている。チェーンメールがいつまでも出回り、ナイジェリア詐欺に引っかかる人が後を絶たないのと同じからくりだ。ユーザーがブログなどで、Railsの利便性や管理性、生産性などを称賛すればするほど、社会はそのウィークポイントを探すようになる。弱点の1つもない完璧なものなど、信用ならないと思っているのだろう」(ハンソン氏)

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