コラム
» 2008年06月06日 01時32分 UPDATE

Gartner Column:IT部門は経営者の期待を背負って何をするべきか (1/4)

ガートナー エグゼクティブ プログラム (EXP)エグゼクティブ パートナーを務める小西一有氏のコラムの2回目。経営者からIT部門へ向けた前回とは反対に、CIO/IT部門が経営者の期待を受けてするべきことについて話す。

[小西一有(ガートナー ジャパン),ITmedia]

 前回は、経営者がCIO/IT部門に期待することについて説明しました。今回は、経営者の期待を受けたCIO/IT部門がするべきこと、そのためにどのように成長していく必要があるのかを伝えます。

 あらゆる経営者は自社の成長を願って止みません。「去年より今年の方が成長している」という言葉を口にする経営者がいたとします。企業を取り巻く競争環境では、成長することとは、他社からシェアを奪い取るということです。去年と今年を比べた場合、他社よりも何かが上回ったのです。

 この何かをガートナーではエンタープライズケーパビリティ(企業力)と定義しています。エンタープライズケーパビリティとは、ブランド力、財務力、従業員のスキル、ビジネスルール、情報力、テクノロジーなどの成果の集合体です。このエンタープライズケーパビリティが、昨年に比べて他社よりも向上したから、結果として競争に勝てたのです。

 経営者が成長を願うということは、エンタープライズケーパビリティを他社よりも向上させたいと願っていることと同義なのです。ビジネス部門だけではなく、そのほかのすべての部門に対してもエンタープライズケーパビリティの向上に貢献することを期待しているのです。可能ならば、エンタープライズケーパビリティは、他社に簡単に真似されない独自性が際立っていることが重要です。

 当社独自のエンタープライズケーパビリティを確立することが期待されているのです。前回企業が成長するには「顧客」というキーワードが注目されるとお話しました。とするならば、独自のエンタープライズケーパビリティとは、「自社が顧客に選択される能力」と言い換えられそうです。この能力は、競争優位性を発揮する能力となり得るのです。

 ガートナーエグゼクティブプログラム(EXP)では、エンタープライズケーパビリティを生み出す取り組みを、エンタープライズレバレッジと呼んでいます。成長を願っている経営者は、CIO/IT部門に「エンタープライズレバレッジを創出する」ことを求めています。

 「ある注力した取り組みによって大きな成果が達成されているときエンタープライズレバレッジが創出されている」とガートナーは定義します。企業は、情報や情報システムを駆使してエンタープライズレバレッジのパワー、スケール、そしてスコープを効果的に拡大させます。

 一方でCIOが持ち得るエンタープライズレバレッジの源泉として、「テクノロジーの卓越性」「アジリティ」「情報力」「イノベーション(革新性)」があります。しかしながら、これらは概念であるために、具体的な行動とその結果に置き換えなければ戦略や経営行動を分かり難く不透明にしてしまう傾向がありました。「ITが経営にどのように影響しているのか分からない」と嘆く経営者が多いのもそのためです。

 本来、CIO/IT部門は、このような「エンタープライズレバレッジの源泉」を保持し、エンタープライズケーパビリティを向上させているはずなのです。

 ある注力した取り組みによって、戦略上意義ある成果が達成されているとき、CIOはエンタープライズレバレッジ(企業力の向上)を生み出しています。このことは、企業変革を実現するためにCIOには新しいアプローチを活用する必要があることを意味します。CIOは、エンタープライズレバレッジの以下の源泉のうち1つ以上の領域に注力することができます(図1)。

konishi21.jpg 図1
  • テクノロジー 

 自動化、統合、標準化によって、企業コストの削減、運用規模の拡大、プロセスパフォーマンスの向上を実現する。

  • アジリティ

 変更管理のための基本理念を適用し、変更の受け入れ能力に合わせて変更を導入する。

  • 情報

 変化の激しい環境で行動するのに必要なビジネス上の見識と知識を得る。

  • イノベーション

 既存のケーパビリティを進化させ、新たなケーパビリティを導入し、さらにこうした変革を市場にスムーズに浸透させる。

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