組織の中間管理職は、ブログやwiki、RSSフィードといったツールとの相性が悪く、既存の業務にどうやって組み込めばよいのか戸惑っているようだ。
ボストン発――6月11日に開催された「Enterprise 2.0」イベントで、ブログやwiki、RSSフィードといったユーザー生成コンテンツツールを企業で利用する際には、中間管理職の存在が1つの大きな壁になっていると、パネリストらが論じ合った。
中央情報局(CIA)のエバンジェリストであるショーン・デネヒー氏も、パネルディスカッションの司会を務めたアンドリュー・マカフィー氏に、CIA版wikiアプリケーション「Intellipedia」の導入および運用を役員クラスの同僚に納得させるのは難しかったと語っている。
Harvard Business Schoolでの授業で「エンタープライズ2.0」という言葉を生み出したマカフィー氏は、「中間管理職がこうしたツールの利用を積極的に妨げているのだろうか、それとも単に彼らが単に乗り遅れているだけなのだろうか」と問いかけた。
これに対し、デネヒー氏は次のように答えている。「彼らが時流に乗っていないというのもあるし、これらのツールを使うのに抵抗を感じているというのもある。既存の業務にどうやって組み込めばいいのか分からないのだ。現在、職場にはさまざまな世代の人間がおり、一部の中間管理職はウェブやブラウザの使用に不快感を覚えている。同ツール類が浸透しにくいのも当然だ」(デネヒー氏)
これは、懸念すべき事態といえる。一般に企業は、ビジネスプロセスを円滑に進める役割を中間管理職に求めている。彼らがブログやwikiを使用した情報発信に参加しなければ、仕事が滞ってしまうのではないだろうか。中間管理職が本当にそうしたツールを受け入れなかった場合、ワークグループのコラボレーションが散発的になったり、効果が薄れたりすると思われる。
Intellipediaの責任者であるドワイエン・ドン・バーク氏は、インターネット時代に入り、テクノロジーは大きな発展を遂げた一方で、経営陣の中枢は40〜50年前から変わっていないと述べ、自分の同輩に対する評価を詳しく話した。
「中間管理職には、ビジネスという列車を時間通り走らせる使命がある。日々の業務を、可能なかぎり迅速かつ効率的に遂行することが仕事なのだ。彼らにとって、変化はきわめて邪魔なものである。優秀な部下が仕事に集中せず、遊びに夢中になるかもしれないからだ」(バーク氏)
さらに、こうした変化を採用していくより、日常業務を遂行する者に報奨を与える体制が経営階層には存在していると、同氏は指摘した。
したがって50代の中間管理職は、20代のいわゆるY世代と比べて、コンピュータや関連技術に触れる機会が少なくなる可能性がある。「神経学的に言って、彼らの脳は完全に別物だ。どちらの世代が悪いという次元の話ではなく、変化がすさまじいスピードで起こっているだけのことである」(バーク氏)
別の世代に属する人々の脳の配線が違うというより(もっとも、こういう話は公の場ではあまり喜ばれないので注意)、古い世代によるツールの使い方が異なるのだという。
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