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» 2008年07月03日 00時00分 UPDATE

Trend Insight: GPLv3リリースから1年 (1/2)

GPLv3のリリースから1年。成功度を確定的に判断するのはまだ不可能だが、あまりに普及しているGPLv2と比較するのでなければ、おおよそ成功したといってもよいだろう。

[Bruce-Byfield,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

 今から1年前の2007年6月29日、18カ月におよぶコミュニティーや企業関係者との幅広い議論を経てGPL(GNU一般公衆利用許諾契約書)LGPL(GNU劣等一般公衆利用許諾契約書)の第3版がリリースされた。さらに11月にはAGPL(GNU Affero一般公衆利用許諾契約書)の第3版もリリースされた。FOSS(フリー/オープンソースソフトウェア)動向の専門家たちは現時点でのこれらのライセンスについて、成功度はほどほどだとしながらも、フリーソフトウェアの啓もうに寄与し続けているという点で評価している。

 各種GPLの第3版を採用しているプロジェクト数は発表元によってやや数字が異なる。オープンソースのコードを追跡調査する企業Black Duck Softwareで社長兼CEOを務めるダグ・レビン氏によると、現在GPLv3を使用しているプロジェクト数は2476、LGPLv3を使用しているプロジェクト数は358、AGPLv3を使用しているプロジェクト数は72だという。また同様の目的を持つ企業Palamidaでマーケティング担当副社長を務めるテレサ・ブイ氏も、GPLv3は2271、LGPLv3は261、AGPLv3は100のプロジェクトが使用しているというほぼ同じような数字を挙げた。数字に差があるのはおそらく、Black Duckの数字には各ライセンスへの移行計画があるプロジェクトの数も含まれているのに対して、Palamidaでは除外されているということで説明がつくだろう。ただしAGPLについてのPalamidaの数字が大きいのは、ブログからも分かるようにPalamidaが最近AGPLにやや重点的に注目しているためだと思われる。

 さらに、開発者に対してv2.1以降のGPL(当然ながらGPLv3も含まれる)の使用を許可する条項を含む版のGPLを使用しているプロジェクト数についてもPalamidaが調査していて、そのようなプロジェクトは、GPLについては6465プロジェクト、LGPLについては372プロジェクトがあるという。AGPLについては第3版になるまでそれほど普及していなかったため、この件についての数字を出していないとのことだ。

 数字に多少の違いがあるとはいえ、Black DuckもPalamidaも全体的な傾向についてはほぼ同じ見方をしている。両社によれば各種GPLのすべての版を合計すると現在使用されているフリーなライセンス全体の約70%を占めるのだという。さらに、GPLv3とLGPLv3の採用ペースは月に約220プロジェクトで安定しているが、そのことでGPLv2の採用が減っているということはなく、また2008年の年末まではこのような傾向にほとんど変化はないだろうというのが両社の見方だ。なお GPLv3採用プロジェクト数がGPLv2採用プロジェクト数を追い越すことは近いうちにはないだろうという見方でも両社は一致していた。

 両氏の採用プロジェクト数の見方に大きな違いがあるのはAGPLv3についてだ。レビン氏は、リリース後まだ半年しか経過していないということからAGPLv3の採用について確定的な見方をすることに慎重な態度で、「AGPLの採用には幾らかの加速が見られる」と述べるだけに留まった。対照的にブイ氏はAGPLv3の採用について「急激な成長が確かに始まっている」とした。同氏は8月までに新たに50プロジェクトがAGPLv3を採用する予定だとして、さらに「この数字も非常に控え目な見積もり」だと付け加えた。またAGPLv3は現在GPLv3/LGPLv3よりもかなり大きな反響を呼び起こしているが、その理由はおそらく第3版策定の議論期間においてあまり注目されていなかったために、より電撃的にとらえられたからである可能性が大きいともした。

 その一方でブイ氏は、GPLv3とLGPLv3の採用プロジェクト数の伸びが安定しているとはいえ緩やかであることについては予想通りだったと述べた。同氏によると各ソフトウェアプロジェクトは、最新のライセンスに早急に切り替えるのではなく「開発をこれまで通りのペースで進めてゆき、ソフトウェアの新版のリリースが準備できたときにGPLv3に切り替えている」のだという。

 第3版の採用傾向について1つ注目すべき点として、策定議論の際に反対や中立の立場だったプロジェクトや企業がいまなおその意向を変えていないようだということがある。ブイ氏は「第3版について1年前に大きな疑念を抱いていた人々は、まだその疑念を払しょくし切れていないようだ」と述べた。その結果、第3版に移行したSugarCRM、Sun Microsystems、OpenOffice.orgなどの大企業や大規模プロジェクトがある一方で、同様に大きな影響力を持つプロジェクトの中にもLinuxカーネルやMySQLなどまだ移行していないプロジェクトもある。

 議論期間に非常に注目された、Linuxカーネル開発者による歯に衣着せぬ批判も採用プロジェクト数の伸びが緩やかであることの原因となっている可能性もある。ブイ氏は「カーネルがGPLv3を採用していないということは、どのグループにおいても不採用理由にかなり大きな影響を与えている」とした。

 その一方でブイ氏もレビン氏も、各種GPL第3版の採用プロジェクト数について大々的な成功ではないが安定していると見ている。ブイ氏は「今年末までにこの傾向に急激な増減が起こる兆しは見られない。第2版がトップライセンスの座を譲ることは今後2年間はないだろう」と予測した。

 同様にレビン氏は次のように述べた。「来年中はGPLv3採用プロジェクト数の伸び率は月平均で約10%を維持すると予測している。言い換えれば第 3版を使用するプロジェクト数は今から1年後には6,000になるだろうということだ。GPLv3は成長し続けて代表的なライセンスの1つであり続けるが、それ以外のライセンスも使われ続けるだろう」。

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