コラム
» 2008年07月07日 12時25分 UPDATE

なぜあの会社は叩かれたのか:リスク管理の本質とは――今、大流行の「危機管理」 (1/2)

偽装や隠ぺい、不正行為。なぜ企業は危機によっていとも簡単につまずくのだろうか?

[会澤尚美(Prap Japan),ITmedia]

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企業における危機管理とは何だろう?

 「リスクマネジメント」「危機管理」……。この包括的かつ概念的な言葉が今、大流行している(ここでは便宜上、「危機管理」と総称する)。報道を見ると、企業も政府も危機管理の甘さを反省し、「危機管理体制の確立」を声高に叫ぶ。しかし、相も変わらず大型のシステムダウンが起き、個人情報が漏えいし、昨今では食の安全性にかかわる問題も提起され、連日連夜の謝罪会見が開かれている。どうやら、「危機管理を徹底する」という掛け声だけが先行しているようだ。

 そもそも、危機管理を抜きにしては企業経営も人生も語ることができず、輝かしい成功も、幸せで穏やかな日々も、すべて的確で戦略的な危機管理によって初めて継続するものだろう。危機管理は、企業経営において(もちろん人生においても)極めて日常的かつ基本的な営みなのである。

 しかし、だからこそ「企業における危機管理」とは何をしたらよいのだろうか。多くの企業が危機管理を経営課題の一つとしてとらえ、「危機管理室」などの部門を設置している。だが、もしあなたが会社から「リスクマネジャー(危機管理室長などとも呼ぶ)」に任命されたら、頭を抱えてしまうのではないだろうか。

 「セキュリティの強化? これは情報システム部門の仕事だろう」「M&Aや提携、多角化など経営課題の解決? これは経営陣の仕事ではないだろうか」「財務、法務、人的資源など機能課題に取り組むのか? コンプライアンス、CSRは生産部門や営業部門に問題はないか――しかし、みんな各部門でそれぞれに取り組んでいる――優先課題は何であろうか? 」と考え込んでしまう。

 もちろん、経営者は危機管理経営を実践すべきであり、それぞれの部門が常にリスクを想定して管理の徹底を図っていくことが当然のことである。しかし、独立した業務における平時の危機管理とは一体どのようなものだろうか。何をするべきなのであろうか。

 わたしは、15年以上危機管理コンサルタントとしてさまざまな企業の経営を支援してきたが、最近では「不祥事がその組織の存亡を決するような重大事になる」ということを周知の事実として認識するようになった。多くの企業が危機管理を重要課題ととらえている。それにもかかわらず、いずれの企業でも何も手つかずのままに突然の危機に遭遇して大いに慌てる。危機管理に対する意識の高い会社であっても、形だけで作った「コンプラインス委員会」やコンサルタントに依頼して作成した「個人情報保護ポリシー」「危機管理マニュアル」などを結局は機能させることができず、やはり、突然の危機的状況に立ち往生するばかりだ。

 なぜ、このような事態を招くのであろうか。なぜ、危機管理は失敗するのだろうか。そして、実際には危機管理とは何をするべきなのであろうか。本連載では、この3つのポイントを中心に実例などを交えて考えてみたい。

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