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» 2008年07月16日 08時00分 UPDATE

企業ポケコンユーザーを呼び戻せるか?:ケータイ目線で開発が進むシンクライアント

カシオでは、ケータイやスマートフォンのセキュアな業務利用を促進するシンクライアントソリューションを開発している。

[石森将文,ITmedia]

 モバイル情報セキュリティという観点においては高い効果を期待できるシンクライアント。だが“ファット”な従来型の端末(ノートPCなど)と比較してそれほどコストが安いわけではなかったり、移行の手間がかかったりといった理由から、なかなか導入に踏み切れないという企業も多いことだろう。カシオ計算機の研究開発センターでは、このような課題を解決するソリューション「Thinケータイ(仮称)」の開発を2005年4月より進めているという。

転送画面にひと工夫

 Thinケータイの基本的な仕組みは次のようなものだ。サーバ側で稼働するWebアプリケーション(グループウェアなど)の画面をモバイル端末に転送する。端末としては、Windows Mobileが搭載されたスマートフォンはもちろん、一般的なケータイ電話を利用できる(Javaが走り、インターネット回線に接続可能な端末。解像度はWVGA以上が望ましい)。端末側の処理は転送された画面を表示したりキーの入力情報などをサーバに返したりするだけであり、演算はサーバ側で行うため、端末側にかかる負荷は低い。カシオの比較では、一般的なケータイに搭載されたフルブラウザによるWebにアクセスに対し、Thinケータイでは10倍程度の表示速度になるという。

thinkeitai.jpg Thinケータイの仕組み

 とはいえ、ここまでは一般的なシンクライアントソリューションと同様であり、目新しさが少ないと感じる向きもあるだろう。Thinケータイの特徴はサーバが端末に返す画面に施された「ブロックスマートズーム」や「フォーカシングポインタ」という工夫にある。

 単純にサーバ側で処理したUI(Windowsの画面など)を端末に返してしまうと、メニューが画面から飛び出してしまったり、拡大縮小がままならなかったりと、使い勝手の面でデメリットが多い。またスクロールさせると、そのたびごとにサーバと端末の間で画面転送が生じ、動作遅延の原因にもなる。

 Thinケータイでは、サーバ側でWeb画面の構造を解析し、“意味的な固まり”ごとに表示し、該当部分だけを拡大できる。また移動したい“固まり”をフォーカシングポインタで指定することで、マウスなどが使えないケータイ電話においても、スムーズにポインティングできるという。

point.jpgzoom.jpg Thinケータイでの画面表示。Web画面の意味的な固まりが赤線で囲まれているのが分かる(画面=左)、左の画面で赤紫にハイライトしている部分をクリックすると、該当部分が拡大される(画面=右)

 カシオの研究開発センターでは、Thinケータイサーバへの同時接続数を増強するためのハードウェアボードも開発しているという(PCI Expressタイプ)。また、JP1やTivoli、OpenViewといった既存の運用管理ソフトウェアと連携し、アプリケーションの利用制限やアクセスログ(操作の録画的な再生)を取るための管理ツールも提供する予定だ。すでにメーラーやグループウェアをSaaS化している企業にとっては、わざわざモバイル用の画面を開発する必要がないのも利点になると考えられる。

 カシオでは、過去の企業ポケコンユーザー層なども取り込みつつ、保険の外交員やMRなど外出先での業務アプリケーション利用が多い職種を中心に導入を図りたい考え。細かな製品仕様や販売方法は策定中だが、2009度中の販売開始を目指す。デモンストレーションの実施など一般ユーザーへのお披露目は、7月22から開かれるワイヤレスジャパンの「MCPC法人向けモバイルソリューションパビリオン」となる。

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